■GRヤリスの氷上での感動は、スカイラインGT-Rに乗った人の感動に近いかもしれない(永田恵一)
購入したクルマだけにGRヤリスには一家言ありの永田氏。評価も上がった部分と下がった部分があるようで。そのほかプジョー208の評価も変化した。
■評価が上がったクルマ…プジョーの猫足が復活している
・トヨタ ヤリス……ヤリスは特にハイブリッドが動力性能と燃費を超高次元でバランスさせている点など、全体的に乗ると登場時から「オオッ」と感じるモデルだった。
ただ登場時は乗り心地だけが「悪くはないけど、クルマ全体の魅力に追いついていない」というのも事実だった。
それが今年に入って1万kmほど走った広報車に乗ったところ、ダンパーの慣らしが進んだせいなのか、乗り心地は「まあいいか」というレベルになっており、ディーラー試乗で乗り心地に不満を覚えてもそれほど心配しなくていいと思う。
・GRヤリス……GRヤリスは自分で買い、約7カ月で約8000km乗ったので○方向と×方向それぞれがある。
○方向は氷上を走った時のこと。4WDなのでコーナーでのノーズの入れ方にコツは要るものの、それさえ掴めばガンガン振り回せ、大いに楽しませてくれた。
またVSCのエキスパートモード(スロットルは制御なしで、ブレーキは最低限の制御と思われる)が非常に賢く、エキスパートモードにすると振り回しながらでもコースアウトやスピンのリスクを大幅に減少しながら、イージーに楽しめる点も印象的だった。
私が氷上でGRヤリスに与えてもらった感動は、平成初めにスカイラインGT-Rに乗った人の感動に近いかもしれない。
×方向はヤリスとは対照的に乗り心地だ。私のGRヤリスは一番サスペンションが固いハイパフォーマンスということもあり、最初から「高速道路のつなぎ目くらいの小さな凹凸なら悪くないけど」とあまりいい雰囲気ではなかったが、それは約8000km走っても変わらず。なるべく早くダンパーに手を加えたいと思っている。
・プジョー208……208は国沢光宏師匠に「プジョーは短時間だとよさがわかりにくいことが多いぞ」と言われたことがあったとおり、「それなりによさそうだけど」とは感じたものの、小さなハンドルや液晶メーターといったアヴァンギャルドなところのほうが印象に残ったのも事実だった。
しかし、何日か預かる機会があったのも含め、長い時間乗っているとエンジン音やロードノイズの小ささによる静粛性の高さに加え、初期モデルでは17インチタイヤを履くGTだとちょっと薄かったプジョーらしい猫足感が、最近乗ったロットが進んだと思われる個体ではGTでも期待値に届いている点など、乗るほどいいクルマに仕上がっていることが確認できた。
それだけに208は、クルマ好きが毎日乗るようなコンパクトカーで迷っているなら、ぜひ候補に入れてほしい存在だ。
●評価が上がったクルマ
・トヨタ ヤリス…登場直後:88点 → 現在:90点
・トヨタ GRヤリス…登場直後:90点 → 現在:91点
・プジョー208…登場直後:85点 → 現在:90点
■評価が下がったクルマ…デジタルミラーの違和感が増してきた
・レクサスESのデジタルサイドミラー……初めて乗った時は雨だったこともあり、雨でもクリアな後方視界が確保できる点など、「課題もあるものの、可能性も感じる」という印象だった。しかし昨年秋に乗った際には天候に恵まれたこともあり、後続車との距離感のつかみにくさなどのデメリットばかりが目立ち、「基本的に選ばないほうがいい」という結論になった。
●評価が下がったクルマ
・レクサスES:評価が下がったのはデジタルミラーのみで採点なし
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