■注目のマツダHVはどんなシステムに? 新車への期待と今後の課題
さらにハイブリッド車にはトヨタのTHSも投入するというのは、これまでなかった情報だけに興味深い。
もっともマツダは、マツダ3の先代モデルであるアクセラにTHSを搭載した実績がある。ただし、これは先代プリウス用のTHSをアクセラに載せただけで、SKYACTIV-Gの良さを活かし切れていなかった。同じ轍は踏まないだろうから、今回はマツダの良い点とTHSを融合した、ハイブリッド車になると期待できる。
選択肢としては3つほどある。1つはスバルが北米仕様のフォレスターに搭載しているような、完全な専用設計のTHSを組み込んだハイブリッド変速機を開発することだ。これをやるならラージ群の縦置き変速機で実現するのではないだろうか。
2つめはクラウンやレスサスLS、LCなどが採用している縦置きTHSをほぼそのまま搭載すること。
3つめはスモール群の横置きエンジンに現行型プリウスのTHS IIを搭載することだ。横置きTHSに関しては、現在のTHS IIの出来が素晴らしいので、無理に自社開発にこだわる必要はないだろう。
これからのマツダの業績は、やはり高級化路線の成功に掛かっているだろう。これが販売面でコケてしまったら、その後の新型車投入も難しくなるからだ。
そういう意味では2022年初めに投入されるラージプラットフォームの第1弾(CX-50?)が非常に重要な役割を果たすことになる。マイルドハイブリッドが組み合わされる変速機は最低でも8速ATにはなるはずで、直列6気筒の滑らかな回転フィールと省燃費を実現できれば、エンジンの魅力を訴求できる。
モーターは滑らかで力強い加速という魅力が浸透しつつあるなかで、直列6気筒が今の自動車市場でどれだけ支持されるかで、マツダの勢いが持続できるかが左右されることになるだろう。
■水素ロータリーもふたたび表舞台へ
マツダファンのなかには、ロータリーエンジンの復活を喜んでいる向きも多いことだろう。今回の発表では、水素ロータリーをふたたび表舞台に引き出すことも明らかになっている。
完全に低コストな水素インフラが確立するまでは、走行用として水素ロータリーを使うのは難しいが、発電用なら早期に実現可能だ。シリーズハイブリッドとしての水素ロータリーは、FCVと双璧の水素利用車になる可能性がある。
魂動デザインをどう進化させていくか、というのも大きな課題だ。2017年の東京モーターショーで発表したVISION COUPEをそのまま量産化したような魅力的な4ドアクーペをリリースできれば、それは大ヒットにつながると思うのだが、どこまで大胆なデザインに仕上げるか。
ともあれ、やはり今後もマツダから目が離せそうにない、と思ってしまうのは筆者だけではないだろう。
【画像ギャラリー】SKYACTIV、2030年の電動化、水素ロータリー……「中期技術・商品方針 2021」に見るマツダの未来
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