■V6ツインターボエンジンは世界的にも極少数
ここで、国内自動車メーカーがもつ、ツインターボエンジンの状況を振り返っておく。
まず日産は、R35 GT-Rの3.8L V6ツインターボ(VR38DETT:570ps/637Nm)、そしてV37型スカイラインの3.0L V6ツインターボ(VR30DDTT:304ps/400Nm)と400R用のV6ツインターボ(VR30DDTTハイアウトプット:405ps/475Nm)。
ホンダはNC系NSXの3.5L V6ツインターボ(507ps/56.1kgm)。
トヨタはA90型のGRスープラの3.0L直6ツインターボ(387ps/500Nm)と、レクサスLS500の3.5L V6ツインターボ(422ps/600Nm)、そして今夏登場の300系ランドクルーザーには、3.5L V6ツインターボ(415ps/650Nm)と3.3L V6ディーゼルツインターボ(309ps/700Nm)の2種類が設定予定だ。
海外メーカーへと目を向けると、V6/直6搭載車は、メルセデスAMG/C43の3.0L V6ツインターボ(390ps/520Nm)、アウディRS4/RS5の2.9L V6ツインターボ(450ps/600Nm)、BMW M340iの3.0L直6ツインパワーターボ(387ps/500Nm)、ポルシェ911ターボの3.7L水平対向6気筒ツインターボ(580ps/750Nm)。
そしてフェラーリ296GTBの2.9L V6ツインターボとモーターのハイブリッド(636ps/740Nm+モーター167ps システム総合830ps)、他にも、マセラティMC20の3.0L V6ツインターボ(630ps/730Nm)などだ。
上を見れば、V8やV10クラスのターボエンジンもあるが、浮世離れしたクルマ達なので、今回は除いた。こうしてツインターボ車の名を上げただけでも、各メーカーの最上級モデルに近い、そうそうたるメンバーだということがお分かりだろう。
かつてはV8クラスの大排気量マルチシリンダーエンジンであったクルマが、現在はV6ツインターボに置き換わっているという状況だ。
これを見て、ツインターボエンジンが結構多いととるか、これしかないととるかは人それぞれだが、10年後に生き残るV6/直6ツインターボのエンジンは、この半数以下となる、と筆者は考えている。
■日産は、痛恨の判断ミスをした
欧州系の他メーカーを見ると明らかだが、華々しいV6ツインターボの裏では、必ずといっていいほど、燃費性能を優先した1.5L~2.0L級の直4ターボも持っている。
だが日産は、排気量3.7リッターのエンジンを3.0リッター級へと更新、燃費優先は、300psのローアウトプット仕様、もしくは当時の提携相手だったダイムラーから直4ガソリンターボ(M274)の供給を受ければよいと考えた。
これがまずかった、と筆者は思う。日産とダイムラーの提携は、2021年5月に解消となった。主要エンジンとすべき小排気量エンジンを、提携相手に全任せしてしまった戦略は大きなミスだった、と思う。
日産は、ダイムラーから欧州市場での売れ筋コンパクトハッチである、Aクラスのプラットフォームを提供してもらうことでQ30/QX30を販売、その対価としてダイムラーから新型直4ガソリンターボ(M274)の供給を受け、自らはV6ツインターボの開発を選んだ。
もしあのタイミングで、ダイムラーから(販売台数は期待できない)高出力ターボエンジンを供給してもらい、日産は自社製の直4縦置きガソリンターボエンジン(縦置きの直4ハイブリッド、もしくはe-POWER)を作っておけば、日産は、今ほど苦しまずに済んだのではないだろうか。
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