3.高速道路での燃料不足による停車
道路交通法75条の10では、高速道路を走る際、「日常点検に加えて燃料や冷却水、オイルの量、タイヤの空気圧および溝の深さを点検しなければならない」と定められている。
燃料の残量を確認せずに、高速道路に乗る人は少ないであろうが、オイルやタイヤの状態など、未然に防げるトラブルが原因で停車してしまった場合は違反として扱われる。つい見落としがちなポイントであるため、特に高速道路を頻繁に利用するドライバーにとっては注意が必要だ。
また同じく道路交通法75条の10では、高速道路を運転する際は、「自動車の運転者は(中略)貨物の積載の状態を点検し、(中略)積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない」との定めもある。
トラックドライバーにとっては常識ではあるが、たとえばアウトドアレジャーでルーフ上に荷物を積載する場合や、久しぶりにキャリアを使用するといったケースでは特に注意したい。
4.追い越し車線は「やむを得ない場合」のみ
高速道路の追い越し車線を走行中、前走車に追いついたが避けてくれないので、空いていた左レーンに移って追い越した――。これは立派な交通ルール違反だ。
道路交通法第20条第1項には、「車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(中略)は、当該道路の左側部分(中略)に3以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる」と記されている。
つまり、片側2車線以下の場合は左側、3車線以上の場合は最右車線以外が走行できる車線で、最右車線は、同3項「(略)道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前2項(第20条第2項、第20条第1項)の規定によらないことができる。
この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。」にある通り、やむを得ない場合に走行する車線であり、ずっと走り続けるのは違反となる。
混雑する高速道路では多くの車両が右側も使って走行しているため、普段からなんとなく右側を走り続けていることはないだろうか。先ほど触れたように、左側から追い越しをするのも違反。右側レーンを走る前方車が遅いから、といって左車線を使って追い越しをしてはいけない。
5.運転に支障のある体調での運転も違反に
激務のせいでとても疲れている、熱っぽくてクラクラする、薬のせいで眠気がある―。こういった場合に運転する行為は、交通ルール上違反となる。道路交通法第66条には「何人も(中略)過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」とある。
どの程度が「過労」にあたるのかはあいまいなところではあるが、重要なのは「正常な運転ができないおそれがある状態」ということである。
あまりにも疲れていれば居眠り運転をしかねないし、頭痛薬や風邪薬の服用後は、薬の眠気を誘う成分により「正常な運転ができないおそれ」がある。薬の注意書きに「服用後は運転操作をしないでください」などと書かれていることが多いのもそのためだ。また手足の痛みにより、ペダルやステアリング操作に支障をきたすような状態も該当するだろう。
また、持病お持ちの方は、処方薬を適切に服用しているかも重要だ。高血圧患者は、降圧剤を適切に服用しなければ、運転中に突如、心筋こうそく等を発症しかねず、糖尿病患者は食事をとらずに血糖値を下げる薬を服用すれば、低血糖で倒れてしまう。とにかく「正常に運転できないおそれがある状態でハンドルを握らない」ことだ。
ロングドライブからの帰りや、思わぬ渋滞にはまってしまった時、旅先で体調が悪くなったりケガをしてしまった時などは難しい判断が迫られるところだが、重大な事故を未然に防ぐためにも、このルールは忘れてはいけない。
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クルマの性能は昔に比べて飛躍的に向上し、走行中にタイヤがパンクしたりオーバーヒートしてしまうということはほとんどなくなっている。また、居眠り・脇見運転防止装置や交通標識認識機能なども実用化され、ドライバーの慣れや疲労によって起こるミスを防ぐシステムも搭載されるようになってき。
それでも、安全に目的地まで行けるかどうかは、依然としてドライバーの的確な判断や安全に対する意識にかかっている。初心に戻り、細かなルールに注意を向けることが、安全運転への一助となる。いま一度ご自身の運転を振り返り、もし心当たりがあれば、これを機に見直しをしてほしい。
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