WLTCモード燃費はJC08モード燃費より実用燃費に近づいたのか? カタログ燃費を検証する!

■燃費特性を知る上でも便利な3つの走行モード

フォレスターのe-BOXER(ハイブリッド)と1.8Lターボは計測モードによって燃費の優劣が逆転する
フォレスターのe-BOXER(ハイブリッド)と1.8Lターボは計測モードによって燃費の優劣が逆転する

 3つの走行モードは、その車種の燃費特性を知る上でも活用できる。

 例えばフォレスターのe-BOXER(ハイブリッド)と1.8Lターボを比べると、WLTCモード燃費はe-BOXERが14.0km/L、1.8Lターボは13.6km/Lだ。e-BOXERが少し優れるが、郊外モードでは逆転する。e-BOXERは14.2km/L、ターボは14.3km/Lだから、e-BOXERの数値はターボよりも少し悪い。

 ちなみにフォレスターのJC08モード燃費は、e-BOXERが18.6km/L、ターボは16.5km/Lだ。JC08モード燃費では、ハイブリッドのe-BOXERがターボよりも優れているという常識的な結果だが、WLTCモード燃費の郊外モードになると、e-BOXERの燃費がターボよりも悪化する意外な現実も見えてくる。

 スイフトの場合、JC08モード燃費は、アイドリングストップを装着しないノーマルエンジンのRSが21.6km/L(CVT)、アイドリングストップを備えたマイルドハイブリッドのRSは25.2km/L(CVT)、ストロングハイブリッドのSZは28.6km/L(5速AGS)だ。

 マイルドハイブリッドは、ノーマルエンジンに比べて燃費数値が17%向上する。ストロングハイブリッドは、マイルドハイブリッドに比べてさらに13%向上する。

 ところがスイフトのWLTCモード燃費は、ノーマルエンジンが20km/L、マイルドハイブリッドは21km/L、ストロングハイブリッドは23km/Lだ。マイルドハイブリッドの燃費向上率は、ノーマルエンジンのわずか5%で、ストロングハイブリッドもマイルドハイブリッドの10%に留まる。

 このようにWLTCモード燃費ではハイブリッドの燃費向上率が小さく、特にノーマルエンジンとマイルドハイブリッドの比較は、JC08モード燃費は17%なのにWLTCモード燃費では5%まで下がってしまう。

スイフトの場合JC08モード燃費とWLTCモード燃費は、特にハイブリッドにおいて大きく違いが出る
スイフトの場合JC08モード燃費とWLTCモード燃費は、特にハイブリッドにおいて大きく違いが出る

 このように燃費数値に差が生じた理由は、スイフトのノーマルエンジンとマイルドハイブリッドで、市街地/郊外/高速道路モードの各数値を比べると良く分かる。

 市街地モードは、ノーマルエンジンが14.8km/L、マイルドハイブリッドは17km/Lと差が大きい。

 市街地モードでは、信号待ちなどを想定した停車時間も相応に確保され、マイルドハイブリッドに装着されるアイドリングストップなどの効果が発揮されるからだ。低速の走行比率も多く、モーター駆動が燃料消費量を軽減させる効果も生じる。

 しかし郊外モードは、ノーマルエンジンが21km/L、マイルドハイブリッドは21.5km/Lだから0.5km/Lしか変わらない。燃費向上率も2%と小さい。郊外モードでは停車時間が大幅に減り、アイドリングストップの効果も薄れるからだ。

 さらに高速道路モードは、ノーマルエンジンが22.7km/L、マイルドハイブリッドは23km/Lだから燃費向上率はわずか1%になる。加減速を抑えて一定速度で走る傾向も強まり、アイドリングストップ、減速時の充電、エンジン駆動の支援効果がすべて薄れる。

■JC08燃費はWLTC燃費の市街地モードに近い!?

C-HRの1.2Lターボを搭載するG-TとハイブリッドGを比較した時もスイフトと同様の傾向が見られる
C-HRの1.2Lターボを搭載するG-TとハイブリッドGを比較した時もスイフトと同様の傾向が見られる

 この傾向はほかの車種にも当てはまる。例えばC-HRの1.2Lターボを搭載するG-TとハイブリッドGを比べると、WLTCモード燃費の総合的な数値は、ターボが14.9km/L、ハイブリッドは25.8km/Lだ。ハイブリッドの数値はターボに比べて73%向上する。

 市街地モードは、ターボが11.1km/L、ハイブリッドは24.7km/Lだから、123%の大幅な向上だ。街中を走る時のハイブリッドの燃料代は、燃費数値上ではターボの半額以下で済む。

 それが高速道路モードになると、ターボの数値が16.9km/Lに向上して、ハイブリッドは24.6km/Lだから若干下がる。ハイブリッドの燃費向上率も46%に留まる。

 JC08モード燃費とWLTCモード燃費を両方表示している車種の数値を見ると、JC08モード燃費は、WLTCモード燃費の市街地モードに近い。JC08モード燃費は、前述の通り日本の測定パターンだから、走行速度も低めで停車時間も相応に長い。従ってJC08モード燃費は、WLTCモード燃費の市街地モードに近付いた。

 WLTCモード燃費の平均速度は時速36.6kmで、市街地モードは18.9km、郊外モードは39.5km、高速道路モードは56.7kmだ。JC08モード燃費は時速24.4kmだから、平均速度もWLTCモード燃費の市街地モードに近い。

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