■リビングルームのような寛ぎ空間のキューブキュービック
続いては、2020年3月に生産終了となり、3世代約22年の幕を閉じた日産キューブ。取り回しのしやすいスクエアなボディの中に、リビングルームのような寛ぎの空間を実現し、幅広い人から支持されたコンパクトカーだ。
実はこのキューブをベースとした7人乗り3列シートモデルがラインアップされていたのだ。
そのモデルが、2002年に登場した2代目キューブをベースに2003年9月に発売された3列シート仕様のキューブキュービックだ。
「コンパクトでありながら実用性の高い3列シート車」をコンセプトに開発されたキューブキュービックは、全長3900mmのコンパクトなボディの中に、キューブの特長の一つである、ソファのように快適なシートをレイアウトした。
コンパクトカーのキューブより170mm延長したボディだが、セカンド+サードシートのニールーム&ヘッドルームは、必要な時は大人が十分乗れるスペースを確保した。となっているが、実際には、緊急用と割り切りたい広さだった。
キューブキュービックのセカンドシートは6:4の分割可倒式を採用し、左右独立スライド/リクライニング/ウォークイン機構により、チャイルドシートを1脚装着したままでも、サードシートへの乗降が可能だった。
また、セカンドシート横に乗車用レバー、後側に降車用ウォークインペダルを採用しており、1アクションでシートバックが前に倒れスライドし、サードシートへのアクセスが可能となっていた。
搭載されているエンジンは、デビュー当初は1.4L直列4気筒のみだったが、2005年4月のマイナーチェンジの際に内外装の変更に加えて、最高出力109psを発生する1.5L直列4気筒エンジンを追加。
さらに、e-4WDと呼ばれる後輪をモーターで駆動させる4WD車を追加した。そして2007年1月のマイナーチェンジで内外装を変更している。
現在、キューブキュービックの中古車は約72台流通していて、平均価格は約25万円。中古車の価格帯は約8万~約61万円となっている。流通している中古車のうち約93%が予算50万円で手に入れられるようになっているキューブキュービックだが、プレミアム価格となるグレードがある。
それは2004年5月に期間限定で販売された、「プラスコンラン」雑貨ブランドのコンランとコラボしたモデルで、キューブキュービックのほか、キューブ、マーチが販売されたが、どのモデルも手に入れるのが困難なモデルだった。
現在は流通していないが、出てくると高額中古車となるのは間違いない。キューブキュービックはミニバンというよりも、3列シートあるハイトワゴンとして購入し、広いラゲージスペースを活用する使い方があっている。
■クラスで最も広い室内空間のビアンテ
そして、変わり種ミニバンとして最後にピックアップしたのが、マツダビアンテだ。
マツダは、2016年にフラッグシップミニバンのMPV。そして2018年にビアンテとプレマシーが生産終了し、車種ラインアップからミニバンが消えてしまっている。
すでに生産終了から3年が経過したビアンテは、ヴォクシー/ノア、セレナ、ステップワゴンといった競合ひしめくミドルサイズミニバンに投入された意欲策だった。
ライバル車は5ナンバーサイズが基本となっているのに対して、ビアンテは全長4715mm×全幅1770mm×全幅1835mmと3ナンバーサイズとなっている。その結果、クラス最長となる室内長(2990mm)および室内幅(1,45mm)を確保すると同時に、クラストップレベルの室内高(1350mm)を採用することにより、クラスで最も広い室内空間を実現していた。
また、両側スライドドアの開口幅はクラストップレベルの780mm。そしてクラストップレベルの低さとなる後席フロア高と相まって、優れた乗降性実現。電動両側スライドドアはタッチセンサーによる挟み込み防止機構をマツダで初採用していた。
外観デザインは、マツダの新しいデザインテーマ“Nagare(流れ)”を表現。フロントからサイド、リアへと連続した流れを感じさせる造形の中に、躍動的であり、かつ室内空間の広さを直感させるスタイリング採用。
インテリアは、奥行感のある幅広なメータークラスターを、ダッシュボード上面の中央からやや運転席寄りに配置。運転中のドライバーの視線移動を最小限に抑えると同時に、2列目・3列目の乗員からも視認しやすいレイアウトとすることにより、すべての乗員が楽しさを共有できるように工夫されている。
搭載されているエンジンは、最高出力165psを発生する2.3L直列4気筒と最高出力151psを発生する2L直列4気筒直噴エンジンの2種類。組み合わされるミッションは2WD車が5速AT、4WD車が4速ATだった。
マツダはミニバンのビアンテでも、高い走行性能を発揮させるため、軽量かつ剛性の高い高張力鋼板を多用しつつ、局部剛性を効果的に高めることにより、大きな開口部を持ちながらも、優れたボディ剛性を実現したプラットフォームを採用。
専用開発されたサスペンションは、フロントにマクファーソンストラット式、リアにマルチリンク式を採用。快適な乗り心地と、多人数乗車でも安心感のある車両挙動を実現している。つまりビアンテは同じクラスの中で卓越した走行性能を実現したミニバンだったのだ。
特長的な外観デザインは、Dピラーの形状を最適化する等アッパーボディの空力特性を向上させると同時に、床下の整流を行なうことにより、優れた横風安定性を実現。Cd値(抗力係数)でクラストップレベルの0.30を達成するなど、マツダらしい細かいこだわりが細部にわたって施されている。
現在、ビアンテの中古車は約454台流通していて、平均価格は約46.9万円。中古車の価格帯は約8万~約198万円と幅広くなっている。100万円以下の中古車が約390台も流通していて、人気薄ゆえに割安感が非常に高いミニバンとなっている。
しかし、裏を返せば、これだけ室内の広さや装備そして走行性能にこだわっていながら、価格が割安というのであれば、これぞ中古車の醍醐味ではないだろうか。
しかも後期型のグランツは大きなフロントグリルを採用し、現在のトレンドにもマッチしている。100万円以下でミドルサイズミニバンの中古車を狙っている人にはベストバイとしてオススメしたいモデルだ。
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