■マイナーチェンジ後は販売回復も…SAIが超えられなかったもの
それなりの長期にわたって生産されたトヨタ SAIでしたが、しかし結論としては鳴かず飛ばずの1代限りで廃番となった理由。
それは、「デザインが(特に前期型は)今ひとつだった」「同じトヨタブランド内でそもそも競合する車種が多かった」など、いろいろな理由があるのでしょう。
しかし根本的なところを言うのであれば、「世の中のセダン離れ」と「小さな高級車を作って売るのは難しい」という二点に尽きます。
「世の中のセダン離れ」については、今さらくどくど説明するまでもないでしょう。
昭和の時代は「車といえば大小さまざまなセダン!」といった世の中でしたが、平成の世になると、世の中のセダン離れは一気に進みました。
それでも1996年(平成8年)にはセダンのシェアもまだ31%はあったのですが、トヨタ SAIが発売される前年の2008年(平成20年)には12%まで低下しています。
このトレンドのなかにあっては、「結局、SAIが何をやったとしてもダメだっただろう」という悲しい推論も導かれてしまいます。
そして「セダン離れ」という決定的な要因に加えて、「小さな高級車を売るのは難しい」という、昔からずっと続いている要因もあったはずです。
本稿の冒頭で申し上げたとおり、トヨタ SAIは「高級」を担保するものとしてサイズや豪華装備類などをわかりやすく追求するのではなく、「シンプルでさりげないが、実際に使ってみると上質さを感じる」という路線で勝負しました。
しかし、その意図や魅力はユーザーにうまく伝わらず(これは、SAI自身にも責任はあったと思いますが)、多くのユーザーは「この中途半端なサイズのセダンに400万円も出すなら、もっと立派に見えるカムリとか、ブランド的な高級感がわかりやすいレクサス CT200hのほうを買いたい」と判断したのです。
トヨタがSAIの前に挑戦した「小さな高級車」であるプログレも、実にいい車ではありましたが、商売的には決して大成功したモデルではありませんでした。
わかりやすいゴージャス感や、いわゆる押し出し感のようなモノに対して積極的にお金を払うユーザーはたくさんいます。だからこそ、トヨタ アルファードもよく売れています。
しかし、「ややわかりにくい高級感=小さな高級車」にそれなり以上のお金を支払わせるのは、あのトヨタですら簡単な仕事ではなかった――ということなのでしょう。
■トヨタ SAI 主要諸元
・全長×全幅×全高:4615mm×1770mm×1495mm
・ホイールベース:2700mm
・車重:1590kg
・パワーユニット:直列4気筒DOHC+モーター、2362cc
・最高出力(エンジン):150ps/6000rpm
・最大トルク(エンジン):19.1kgm/4400rpm
・燃費:19.8km/L(JC08モード)
・価格:426万円(2009年式 G ASパッケージ)
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