ホンダeオーナーが激白! EVの航続距離は何kmだったら満足するのか

■ホンダeの1充電あたりの航続距離に不満を持ったことはあるか?

 以前の愛車だったBMW i3はレンジエクステンダーだったこともあり、丁寧に乗れば航続距離は300kmを難なく超えた。これまでEVで10万km以上走っているが、その経験からいえば300kmが1つの目安だと思う。安心感が一気に増す。

 ホンダeの航続距離は実質200kmだが、慣れてしまえばロングドライブをしても不安はない。残り6%になり、電欠しそうになったのは1回だけだ。これは急速充電器を4カ所回ったが、故障していたり、休みだったりしたからで、なんとか5カ所目で充電できた。

 ホンダeアドバンスはタイヤがスポーティなミシュランのパイロットスポーツ4だから電費では不利だ。エコタイヤにすれば多少は電費が良くなるが、ボクは楽しい走り、気持ちいい走りを優先している。

 慣れてしまうと、充電も苦にならない。充電タイムで定期的に休めるのは安全のためにもいいと思う。2台持ちなら航続距離が短いEVでも不満は出ないだろう。

 我が家ではボク以外は最大でも1回の走行が100km止まりだから、急速充電したことがない。側で見るほど、不満は少ないのだ。

 では、理想とする、EVの理想的な1充電あたりの航続距離は何kmか? 1台持ちの人やエンジン車からの乗り換えなら、ガソリン車並みのWLTCモード400km以上。2台持ちなら、EVは300km走れれば不満はないはず。

 シティコミューターならエアコン作動させて100kmで十分だと思う。これなら急速充電器を必要としない。家だけで充電できてしまう。

■ホンダeの気に入った点、不満な点

5つのモニターが並ぶホンダeのコクピット
5つのモニターが並ぶホンダeのコクピット

 ホンダeはキュートなデザインで、子どもや女性から人気が高い。知らない人から「写真を撮らせて」、とせがまれることもある。デザインの良さといろいろな画面を出せる全面デジタルのインパネは気に入っている。

 後輪駆動ならではの気持ちいいハンドリング。EVだから鋭い瞬発力とシームレスな加速を味わえる。しかも群を抜く静粛性の高さだ。これらは気に入っている。

 我が家の住人はEVに慣れているため、今ではガソリン(ディーゼル)エンジンの騒がしさと振動が気になるようになってしまった。

リアシートは分割可倒式ではないところが不満だという。ソファーらしさを演出するため、シートバックを一体式したリアシート。シートサイドのドアに通じる部分もシートと同じファブリックを設定し、ドアと連動する空間の広がり感を表現
リアシートは分割可倒式ではないところが不満だという。ソファーらしさを演出するため、シートバックを一体式したリアシート。シートサイドのドアに通じる部分もシートと同じファブリックを設定し、ドアと連動する空間の広がり感を表現
ラゲッジスペースが狭いところも不満(写真は4名乗車時通常状態)
ラゲッジスペースが狭いところも不満(写真は4名乗車時通常状態)

 不満点は、リアシートが分割可倒式ではないこと。ラゲッジルームが狭いことなど。EVとしての不満は、減速時の制御がちょっと荒っぽいことだ。重量が重いこと。もっとアルミやカーボンなどの軽量素材を使って軽量化してほしい。軽ければ、さらに気持ちいい走りを楽しめるはず。

 また、充電口がフロントにあるが、充電するときに前から突っ込まなくてはならないのは出る時を含め、不便。普通充電のコードもラゲッジのフロア下のアンダーボックスに収納されているので、荷物を積んでいると充電するときに出し入れが面倒。ラゲッジに入れてしまうと、狭い荷室がさらに狭くなる。

■EV車は克服しなければいけない難題がたくさんある

中国で上汽通用五菱汽車が販売する全長2920mmの宏光ミニEVは約48万円から。最高速度は105km/h、1充電あたりの実用航続距離は100kmだという
中国で上汽通用五菱汽車が販売する全長2920mmの宏光ミニEVは約48万円から。最高速度は105km/h、1充電あたりの実用航続距離は100kmだという

 EVにとってネックとなるのは、航続距離以上に重要なのは販売価格だ。航続距離が100kmと短くても新車価格が補助金を使って150万円くらいに収まるなら欲しい人は多いはずだ。

 毎日の使用で50km以上を走る人はそれほど多くはないからだ。つまり、現在の月販新車台数の上位にいるヤリスやルーミー、ノート、フィットあたりのコンパクトカーがすべてEVになる時代がそう遠くない時代に訪れるが、それらのコンパクトカーが補助金を使って200万〜250万円くらいに収めることができるか?

 そうなれば、200Vまたは100Vの普通充電が多く、週に2、3回、家庭や職場での充電で足りてしまう人には最適な乗り物になる。

 近場での買い物や駅への送り迎え、通勤のような使い方が中心となっている人なら、急速充電器に頼ることなくEVライフを楽しむことが可能だ。ガソリンスタンドも減っているから、軽自動車感覚で乗り回せる。

 軽自動車のEVにしても、日産と三菱(NMKV)が2022年4月から、ホンダも2024年から生産すると明らかになっているが、やはり200万円以下に抑えられるかが鍵となっている。

 EVは、内燃機関の延長線上にある乗り物ではない。モーターは瞬時にパワーとトルクが盛り上がり、力強い加速を見せる。静粛性も群を抜いて高い。応答レスポンスも鋭いからストップ&ゴーの多い街中や郊外の道を走るのは得意だ。

 充電インフラが整っていて、使う範囲も限られている人にとってEVは気になる存在になるだろう。新しい価値観に共感できる人には魅力的な存在と感じられる。EVが手の届く価格まで下がってくれば、買いたいと思う人は少なくないはずだ。

 とはいっても10年後も大多数を占めているのはハイブリッド車に代表される内燃機関の自動車だろう。徐々にEVも増えてくるだろうが、バッテリーなどに大きなブレイクスルーがないと主役に躍り出ることは難しい。

 150年近い歴史を誇る内燃機関にはEVにはない魅力があり、それを知っている人はEVにスンナリと乗り換えることはしないだろう。きめ細かい改良に加え、アルコール燃料や水素燃料などに置き換え、生き残る道を模索している。

 頻繁に起きている冬季の雪の中の立ち往生や災害時、雨天時など水没などを心配する声も多い。EVにとって寒い季節は苦手だ。

 だから我が愛車にはUSBでヒーターを作動させるブランケットやレインウェアを積みっぱなしにしている。大雪と大雨の中を走ったこともあるが、不便は感じなかった。ある程度の対策をしていれば、難局を乗り切れるはずだ。

 EVならではの機能としては、非常時の電源としての潜在性能が高いことが挙げられる。ホンダeは家庭用機器などの電源となる「V2L(Vehicle to Load=ヴィークル トゥ ロード)」に対応しており、いつでもどこでも蓄積した電力を使うことが可能だ。

 また、インパネ中央に100Vの電源コンセントを搭載している。ホンダeが貯め込んだ電気で、一般的な家庭なら3日分の電力をまかなうことができるのは大きな魅力だ。

 今までに15万km以上の距離をEVで走り、無充電ギネス記録やEVカート、EVレーシングカーなどにも挑戦した。確かにEVは万能ではない。

 地球にやさしいといわれているが、製造過程ではCO2を出している。エンジン車の平均寿命は約13年だが、EVのリチウムイオンバッテリーは10年/10万kmで80%の性能と言われており、バッテリーを交換しながら走行を延ばしてもエンジン車のように長生きできるだろうか。初代日産リーフですらまだ発売から11年しか経っていない。

 また使用済みバッテリーをどうするか、これも今後の課題だろう。EVにはいくつか越えなくてはならないハードルはある。

 しかし、この20年でEVは驚くほどの進化を遂げ、魅力を増してきた。次の10年で自動車の世界は大きく変わるはずだ。

2021年上海モーターショーで発表された、トヨタとスバルが共同開発するEVのSV、bZ4X(スバル版はソルテラ)は2022年年央に発売予定。航続距離に関しては「冬場などでもお客様に不便を感じさせない航続距離を確保」と記述されていることから、WLTCモードで400から450kmと予想され、バッテリーは60kWh程度を搭載か
2021年上海モーターショーで発表された、トヨタとスバルが共同開発するEVのSV、bZ4X(スバル版はソルテラ)は2022年年央に発売予定。航続距離に関しては「冬場などでもお客様に不便を感じさせない航続距離を確保」と記述されていることから、WLTCモードで400から450kmと予想され、バッテリーは60kWh程度を搭載か

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