■第2位:勝利のために生まれた名機/RB26DETT
■型式:RB26DETT
■排気量:2568cc
■エンジン形式:直列6気筒DOHCツインターボ
■最高出力:280ps/6800rpm
■最大トルク:40.0kgm/4400rpm
日本の数あるエンジンの中で、モータースポーツでの勝利を目指して専用開発され、基本的に量産車のワンモデルにのみ設定されたという経緯をもつのは、日産の直列6気筒の伝統を受けついだRB26DETT型ぐらいだろう(同じく日産のS20型直列6気筒はスカイラインGT-RとフェアレデイZ432に設定)。
BNR32型、BCNR33型、BNR34型と、3~5代の各GT-Rのパワーユニットとして受け継がれたこのエンジンは、1990年代を中心とした日本のモータースポーツにおいて、開発当初はグループAレースである全日本ツーリングカー選手権を制するために生み出された。
当時の日本メーカーのパワー自主規制の上限値である280ps/40.0kgmを発揮したRB26DETT型直列6気筒ツインターボの排気量は2568ccとされたのも、当時のグループAレギュレーションに対応したもの。
量産仕様ではセラミック製タービンを備えるターボチャージャーを2基装着。強度を増して耐久性を強化した鋳鉄製シリンダーブロックやナトリウム封入ステムバルブを採用するなど、当時の最新スペックが与えられた。
直列6気筒ならではのバランスのよさとパワフルさを併せ持つこのエンジンのフィーリングは独特といえ、いまや歴代スカイラインGT-Rとともに「伝説」といえる存在となった。
■第1位:「エンジンのホンダ」の面目躍如/VTECユニット
■エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
■型式:K20C
■排気量:1995cc
■最高出力:320ps/6500pm
■最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2500~4500rpm
ここで大いに褒めたいのはVTEC搭載のスポーツエンジンたちである。時代に合わせてエンジンの排気量が変化するとともに、燃費向上にも対応してきたVTECの歴史の中でひときわ輝きを見せてきたのが、ホンダの代名詞というべき「タイプR」とともに歩んできたVTECエンジンということになる。
1989年登場の1.6L、B16A直4の“リッター100馬力”の印象は強烈で、低速/高速カムの切り替え時にまさにカムに乗るという表現がふさわしい「豹変」ぶりは接した経験のある者でしか味わえない魅力だった。
その後の1997年に登場したシビックタイプRに搭載されたB16B型98spec.Rでは180psを獲得。これに先んじて1995年に発表されたインテグラタイプR用に開発された1.8L、直4のB18C 95spec.R(200ps)では、熟練工によるシリンダー研磨や手曲げで仕立てられた排気マニフォールドなどといった、いまや伝説レベルの細部にわたる仕立てにより、ホンダ・ファンの心を揺さぶったものだ。
その後、VTECを備えるスポーツエンジンとしての系譜は2LのK20型エンジンへと受けつがれ、現在もVTECターボとして生き続けており、先頃発表された新型シビックでもタイプRを2022年に発売予定とされている。
と、ここまで解説しておいて恐縮だが、VTECユニットの完成形として、最強の名機として挙げたいのは、1999年に発売されたオープン2シータースポーツであるS2000に搭載された2L、直4のF20C型エンジンとしたい。
途中、2.2Lに排気量が拡大されて実用性が高まった反面、暴力的とさえいえた回転フィールがぬるくなったと一部には揶揄されたほどだった。少なくとも個人的に事前の心構えが足らず(苦笑)、街中でマニュアルシフトが間に合わないと慌てさせられた数少ないモデルだ。
■エンジン形式:直列4気筒DOHC
■型式:F20C
■排気量:1997cc
■最高出力:250ps/8300pm
■最大トルク:218Nm(22.2kgm)/7500rpm
VTECがもたらす強力なパワーとレスポンスの良さは受けつがれ続け、すでに先代となったシビックタイプR用のK20C型VTECターボでは、リッター当たり160psまで辿り着いたホンダの技術(と執念?)には敬意を表するしかない。
さて、気になるのは新型シビックタイプRの存在。すでにホンダが2022年の発売と明らかにしているが、おそらくK20Cを進化させた、最後の純ガソリンターボになると予想される。期待して待っていよう。
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