■チョイ乗りはエンジンのあらゆる部分に大きな負担をかけてしまう乗り方だ
では、「チョイ乗り」を繰り返すとどのような悪影響があるのか?
冬の寒気に晒されると身体は縮こまり、夏の暑さに見舞われれば汗をかいてグッタリと、快適に過ごせる温度は限られる。これは機械物も同様で、スムーズかつ快適に動作できる「適温」というものがある。
クルマのエンジンなら冷却水の温度で80~90℃の範囲で、昭和モデルの車両では走り出す前の儀式として、「水温が上がるまでアイドリングさせる暖気運転」が必須であった。
しかし、電子制御燃料噴射による燃料供給が一般的な現代のクルマは、コンピューターが燃焼状態をチェックすることで常に最適な混合気を供給してくれる。このため、エンジン始動後、すぐ走り出してもOKで、無理な負荷をかけることなくゆったり走らせることが暖機運転の代わりとなる。
ところが、チョイ乗りは、その暖機運転が終わる前にエンジンを止めたり、暖まる前に無理な加速をするなど、エンジンへの負担が大きい走り方になりやすいのだ。
例えば、冷却水が適温まで暖まらないとエンジン内部の各部が熱膨張を考慮した適正なクリアランス(隙間)とならないため、無理に回そうとしても回転が重く、異音を発したりする。無闇に回転を上げれば摺動面(金属が擦れ合っている面)にダメージを与える可能性もある。
さらに、エンジンオイルは適温になるまでに内部に貯まった水分(結露)が蒸発しきれず、これが原因でスラッジが発生。エンジンオイルには燃焼室から吹き抜けたガスも混ざり込むが、エンジンが充分に暖まって燃焼が安定する前に止めてしまうと未燃焼の汚れたガスが混入しやすくなる。このため、チョイ乗りの繰り返しはオイルを劣化させやすいのだ。
また、スターターモーターには回転時80A以上の大電流が流れるため、大容量接点のマグネットスイッチを介してON/OFFされている。が、それでも瞬間的に高圧電流が流れるため焼損しやすく、時とともに電気が流れにくくなってくる。
目に見える症状としてはバッテリー上がりに似たような症状を呈するようになるが、始動・停止を繰り返すほどに接点が焼損。導通不良を起こし、回りにくくなってくる。
当然、バッテリーへの負担もより高くなる。走る距離が短いためバッテリーへの充電量(エンジンが回っている時、充電も行われる)が不足ぎみとなり、バッテリー上がりを起こしやすくもなる。
走行距離に対して始動回数が多くなるチョイ乗り主体の走りは、長い目でみればそのようなトラブルにも見舞われやすいのだ。
■ハイブリッド車はチョイ乗りには強いが、燃費の悪化は避けられない
なお、ハイブリッド車の走り出しはモーターの太いトルクでスムーズに加速し、速度変化があった場合、変速比を調整して極力エンジン回転数の変動が抑えられる。
しかも、エンジンが冷えている時はエンジンの始動/停止が自動的に行われる(暖機運転)ため、ドライバーが暖機運転を意識する必要はない。
このため、通常のクルマと比較して「チョイ乗り」には強いといえる。が、短距離走行のくり返しは暖機運転のためのエンジン始動が頻繁に行われることになり、燃費の悪化につながるため、燃費を気にするならチョイ乗りは控えたほうがよいだろう。
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