日本に2台の超希少車!! ベンツの重量物運搬トラクタに迫る

日本に2台の超希少車!! ベンツの重量物運搬トラクタに迫る

 重量物輸送ではさまざまな特殊トレーラが活躍している。荷台が伸びたり縮んだりする特殊トレーラは、見ているだけでもワクワクするものだ。

 いっぽう、そんな特殊トレーラを牽引する重量物運搬用トラクタにも魅力が満載! 見た目、性能、価格のすべてが通常のトラックを上回る重量物運搬用トラクタは、まさに「トラック界のスーパーカー」と呼ぶにふさわしい。

 今回は、重量物輸送を専門とするライト建設(兵庫県西宮市)が導入した、日本に2台しか存在しないメルセデス・ベンツの重量物運搬用トラクタ「アロクスSLT」を紹介しよう。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2016年9月10日発売「フルロード」第22号より

【画像ギャラリー】見た目、性能、価格のすべてが通常のトラックを上回る!! 重量物運搬用トラクタ メルセデス・ベンツ「アロクスSLT」


■そもそも重量物運搬用トラクタとは?

重量物運搬用トラクタの車軸が多いのは道路への荷重を分散させるため。重量物運搬用トレーラの車軸が多いのも同じ理由だ

 重量物運搬用トラクタは、トレーラの前部荷重を支える「第5輪」の許容荷重が通常のトラクタよりも大きいのが特徴。基本的にはこの第5輪荷重が大きいほど、重たい積み荷を載せたトレーラを引っ張ることが可能だ。

 トラクション確保や、路面への荷重の分散のため車軸の数も多くなっており、国産メーカーは3軸(6×4)までしかラインナップしていないが、海外では4軸、5軸や総輪駆動などさまざまなバリエーションが存在する。

 ちなみに、実際にどれぐらいの重さの積み荷が運べる性能を持っているかは、「許容GCW」の数値で判別可能。GCWは連結車両総重量の意。すなわちトラクタとトレーラと積み荷の合計重量の最大値を示す数値だ。

 エンジンは高出力かつ高トルクが基本。トランスミッションはAMT(機械式マニュアル)が主流だが、重量物輸送では重量物を載せた上で超低速走行を多用するシチュエーションが多く、通常の摩擦クラッチでは焼き付きを起こす恐れがあるため流体クラッチ(トルコン)を好むユーザーも多い。

近年は積み荷が大型化しており、国産メーカーのトラクタでは運べない場合も。そんなときに海外メーカーの重量物運搬用トラクタは不可欠な存在だ

 国産メーカーのトラクタは第5輪荷重20tが最大。もちろんこれでも重量物輸送は可能だが、積み荷によってはそれ以上の第5輪荷重が求められることも……。そこで一部の重量物輸送ユーザーは第5輪荷重が大きいモデルの設定がある輸入車を導入しているというわけだ。

■許容GCW250tのモンスター ライト建設のアロクスSLT

ライト建設が導入したメルセデス・ベンツ・アロクスSLT(8×6)。もういっぽうの8×4はこれより背の高いキャブを搭載する

 ライト建設では、長年主力として使ってきたメルセデス・ベンツの重量物運搬用トラクタ「SKシリーズ」の老朽化に伴って新たな重量物運搬用トラクタの導入を検討。その結果、2016年にメルセデス・ベンツの重量物運搬用トラクタ「アロクスSLT」を導入した。

 同車両は、2013年発売の特装モデル「アロクス」のシャシー、エンジン、トランスミッションなどを重量物輸送向けにチューニングしたクルマ。SLTは「Schwer Last Transporter」の頭文字で、直訳すると「重量物運搬車両」となる。

ライト建設が従来まで主力トラクタとして運用してきたメルセデス・ベンツ・SKシリーズ(6×4)。見た目こそ古いが現行車に引けを取らない牽引力を誇る

 ちなみに、メルセデス・ベンツのトラック部門は2000年代に日本市場から撤退。ライト建設が導入した2台のアロクスSLTは左ハンドルの海外仕様で、2台とも前2軸ステア機能付きの4軸車。駆動方式は8×4と8×6の2タイプである。

国産メーカーのトラクタには設定のない4軸車は貴重な存在。写真は8×6で、前2軸はシングルタイヤでステア機能付き

 アロクスSLTがスゴイのは、許容GCWが250tもあるところ。しかも250tはカタログ値で、仕様によっては500tも可能というから驚きだ! 第5輪荷重はカタログに記載されていないが、トラクタ単体のGVW(車重+第5輪荷重)は41tとなっている。

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