■お買い得な車種は?
装備と価格のバランスも比べたい。
ヤリスハイブリッド2WD・Zの価格は232万4000円で、アルミホイールは8万2500円、100V・1500Wの電源コンセントは4万4000円のオプションだ。この2つをオプション装着した合計額は245万500円になる。
ヤリスクロスハイブリッド2WD・Zの価格は258万4000円で、アルミホイールは標準装着される。100V・1500Wの電源コンセントは4万4000円のオプションだから、これを加えた合計額は262万8000円だ。
アクア2WD・Zの価格は240万円で、アルミホイールや100V・1500Wの電源コンセントは標準装着した。さらにディスプレイオーディオのサイズは、ヤリスとヤリスクロスが8インチなのに対して、アクアは10.5インチに拡大する。
以上のようにアルミホイールや100V・1500W電源コンセントのオプション価格を含んだ合計額は、アクア2WD・Zが最も安く240万円、ヤリスハイブリッド2WD・Zは245万500円、ヤリスクロスハイブリッド2WD・Zは262万8000円になる。
しかもアクアは前述のとおりディスプレイオーディオのサイズも拡大され、後席の居住性、走行安定性、乗り心地も3車のなかでは最も優れている。
従って3車のなかでは最も買い得な車種はアクアだ。ヤリスは居住性、乗り心地、価格の割安度でアクアに劣る。ヤリスは運転感覚がアクアよりも軽快で、燃費性能も優れているが、総合力では勝てない。
そのためにコンパクトカーのハイブリッドを買うならアクア、ノーマルエンジンならヤリスという選び方になる。
ヤリスクロスも価格の割安感、後席の居住性、乗り心地でアクアに負けるが、SUVという独自の価値を備える。そこに魅力を感じるなら、ヤリスクロスも検討したい。
■アクアがお買い得な価格設定になっている理由
ちなみにメーカーが公表している1カ月の販売目標は、ヤリスがハイブリッドとノーマルエンジンを合計して7800台、ヤリスクロスは4100台だが、アクアはノーマルエンジンを用意しないハイブリッド専用車なのに9800台と多い。
つまりアクアは、優れた燃費性能が求められる2030年度の燃費基準も視野に入れ、機能や装備のわりに価格を抑えて大量な販売台数を狙っている。
そのためにバイポーラ型ニッケル水素電池も開発した。現時点ではヤリスやヤリスクロスのリチウムイオン電池に比べて価格が高いが、生産台数が増えれば、コストが下がってバイポーラ型ニッケル水素が安くなる。
効率を高めるには車種の選択と集中も不可欠だから、今後のトヨタのコンパクトカーは、ハイブリッドをアクア、ノーマルエンジンをヤリスに絞ることも考えられる。広い室内を求めるユーザーには、ダイハツ製のルーミーが対応する。パッソの存続は、ヤリスに1Lエンジン搭載車があるので微妙だろう。
このようなトヨタの戦略に基づいて、アクアは買い得度を強め、推奨度の高いコンパクトハイブリッド車に仕上げられた。
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