新型フェアレディZはなぜV6ターボの純エンジン車で発売するのか

なぜ新型Zは純エンジン車としてデビュー?

新型フェアレディZには新開発の3L、V6ツインターボエンジンが搭載される。吸気系にリサーキュレーティングバルブを採用(最高出力405ps、最大トルク475Nm/5600rpm)
新型フェアレディZには新開発の3L、V6ツインターボエンジンが搭載される。吸気系にリサーキュレーティングバルブを採用(最高出力405ps、最大トルク475Nm/5600rpm)

 ところでどうして、新型Zはこれほどまでに男気のあるパワーユニットを搭載することになったのかというと、そもそも電動化が大きく注目されるようになったのは、ここ1~2年のことだ。

 つまり、すでにプロトタイプを発表していた新型Zは、基本構成がほぼ完成していた時期にあたる。

 そしてZの主戦場は北米だ。V8エンジンを搭載したアメ車などが人気を博してきたマーケットだけに、大排気量の人気が根強いという土壌がある地域なのである。

 米国でも排ガス規制(=燃費規制)が厳しいのは現時点ではカリフォルニア州だけだから、その他の地域ではそれほど燃費が販売に影響を受けることはないのが現状だ。

 実際、現在の北米市場で売れているのは、SUVやSUT(スポーツ・ユーティリティ・トラック)を含めた大排気量車であり、自動車メーカーはそうしたクルマで利益を上げている。

 売れている限りはそのカテゴリーに力を入れるのは当然のことで、薄利多売の大衆車とは異なるプロセスで自動車メーカーは収益を上げるのだ。

 Zのようなスポーツカーは大きな販売台数が見込めないぶん、全体としては環境負荷は小さく、リーフやノートなどのエコカーが総量規制では貢献するために、現時点ではそれほど問題となることはなさそうだ。

フェアレディZが電動化されるとしたらどんなレイアウトになる?

2019年11月に発売されたマスタング マッハE。ピュアEVであり、マスタング車における高性能モデルの称号「マッハ」を持つモデル
2019年11月に発売されたマスタング マッハE。ピュアEVであり、マスタング車における高性能モデルの称号「マッハ」を持つモデル

 しかし、スポーツカーであるZとて、いつまでも大排気量の純エンジン車として作り続けられることはない。いずれ電動化か絶版かの判断を迫られることになるだろう。

 それも北米市場での人気ぶり次第ということになる。例えば次世代フェアレディZがフォードのマッハEのようにEVとなったとしても、それ自体は何ら不思議ではないことだ。

 問題は、電動化したフェアレディZが人気を得て、ある程度の販売台数が見込めなければ、開発費も回収できないから、販売する意味がなくなってしまう(それでもブランドイメージとして意義はあるのかもしれないが)ことだ。

 それを踏まえてフェアレディZが電動化するとしたら、どういうレイアウトになるのか予測してみよう。

 スポーツカーとしてリア駆動にこだわるのであれば、フロントタイヤにモーターを追加する、それも補助的なものになるだろう。この場合はインホイールモーターでフロントタイヤを駆動するパラレルハイブリッドとするのが合理的じゃないだろうか。

 エンジンによるリア駆動に加え、さらにモーターでリアタイヤを駆動するレイアウトもあり得る。普段は加速時にモーターが大きくアシストして燃費を高め、豪快に加速するようなシーンではエンジンとモーターが力を合わせてドリフト走行もできるような、パフォーマンスを発揮することもできるだろう。

 そうなった場合、エンジンは3Lも排気量は要らず、2Lターボにモーターという組み合せのハイブリッドでも、充分に速いスポーツカーに仕立て上げることはできるハズだ(スカイラインハイブリッドが良い例だ)。

 いやマッハEがマーケットに定着すれば、ZもEV化への道を辿るかもしれない。すべては市場が決めること、と言ってもいい。

 いくら画期的で魅力的なクルマであっても、マーケットやリリースのタイミングを見誤れば、ヒット作とならないことは、これまでの歴史で証明されているではないか。

次ページは : 初代Zを彷彿させる新型Zのパッケージ

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