2021年4月から始まった電動キックボードの実証実験。都内でも電動キックボードが走っているのを見ない日はないぐらい、多くの人が利用している。ヘルメット着用が任意になり、気軽に移動ができるようになった反面、直近事故や違反での取り締まり事例が増えている。
8月26日、新宿区在住の飲食店従業員の女性(23歳)が、自動車運転死傷処罰法違反(無免許危険運転致傷)などの疑いで書類送検された。
免許が必要と分かっていながら無免許でナンバーのついていない電動キックボードを運転。JRの新宿大ガード東交差点で「赤信号なのはわかっていたが、クルマが来ていないように見えた」ので信号無視して直進、左側から青信号で交差点内に進入してきたタクシーと衝突し、タクシー乗客に加療10日間の頭部打撲を負わせたというもの。加害者も右手の骨を折る大けがをした。
電動キックボードの実証実験が始まってから半年あまり、今どんな状況になっているのか? 電動キックボードの今を解説する。
文/柳川洋
写真/柳川洋、Adobe Stock(トビラ写真/Fxquadro@Adobe Stock)
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■電動キックボードの事故は今年34件発生
警視庁によると、都内では電動キックボードによる事故が相次ぎ、今年は8月31日までに39件の事故が起きており、交差点での出会い頭の事故が目立つとのこと。
また、大阪では今年5月にナンバーを取得していない電動キックボードで知人女性を前に乗せた二人乗りの状態で難波の歩道を走り、歩道を歩いていた40歳代の女性をはねて転倒させ、首の骨を折る全治1ヶ月の重傷を負わせた上逃走した無職の男(30歳)が逮捕された。過失運転致傷とひき逃げで6月に略式起訴され、大阪簡裁から50万円の罰金の略式命令を受けた。
この事故の悪質さが際立ったこともあり、大阪府警では違法キックボードに対する摘発が強化された。6月に、無免許運転で電動キックボードに乗って1週間前に警察官から警告を受けたばかりの男が無免許、酒気帯びで電動キックボードを運転して、現行犯逮捕されるなど摘発が相次いだ。
福岡でも7月、無免許酒気帯びで実証実験中の電動キックボードに乗っていた男が逮捕されている。
このように悪質な事故もかなり増えており、実証実験が終了する今年10月以降、電動キックボードに対する規制の方向性がどのように変わっていくのか注目される。
ちなみにイタリアでは先月末に13歳の子供がミラノ近郊で電動キックボードの事故で亡くなり、ヘルメット義務化と時速20kmへの最高速度制限、4時間以上の講習後に取得が可能になる免許義務化の議論が進められている。
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