■電動キックボードは自転車、原付、自動二輪? 法律上の位置づけは?
ではそもそも、電動キックボードが法律上どんな位置づけをされているのか、正確に言える人はどれだけいるだろうか。それが分からないと、何が違法で何が合法なのかは正確に分かっていないことになる。
いわゆる「電動キックボード合法化」直後から現在まで計19回、走行距離合計43.9kmも電動キックボードを利用したり、ベストカーwebに関連記事を書いている筆者でも、簡単に説明するのは難しい。
まずは原則論から。「原則的」には、モーター出力が定格出力0.6kw以下の電動キックボードは、道路交通法上「原動機付自転車」、いわゆる原付扱いになり、0.6kwを超え1.0kw以下だと「自動二輪車(小型)」、いわゆる排気量50cc~125㏄の、黄色やピンクのナンバープレートをつけて走るバイクと同等の扱いとなる。
だが、最近よく都内で目にする「LUUP」などのナンバー付き電動キックボードは、実は「小型特殊自動車」。2021年4月に「産業競争力強化法の認定新事業活動計画」にしたがって貸し渡された電動キックボードの特例措置により、「小型特殊自動車」として公道の走行が認められている。
その特例措置により、ヘルメット着用は義務ではなく、「自転車を除く」「軽車両を除く」と書かれた一方通行路を逆走でき、自転車専用通行帯も走行できる。
また原付であれば最高速度が時速30kmだが、特例措置に基づく電動キックボードは最高時速が15kmに抑えられている。
念のためだが、この特例措置は、「特定の認可済みの事業者が貸し渡し、認定新事業活動計画の実施区域内を走っている場合のみ」適用され、今年の10月に終了することになっている。
「認可済みの事業者」は、株式会社Luup、株式会社mobby ride、株式会社Exxと長谷川工業株式会社のみ。「実施区域」はLUUPの場合、品川区、渋谷区、新宿区、世田谷区、港区、目黒区のみ。
例えば西新宿5丁目のポートから渋谷区にある笹塚に行くのにLUUPの電動キックボードを借り、ヘルメットを被らずに中野区を通る方南通り経由で行ってしまうと、道路交通法違反になってしまう。
また「認可済みの事業者」から貸し渡されたものではない電動キックボードは、原付もしくは小型自動二輪としてナンバーを取得の上、自賠責保険に加入し、走行時はヘルメットを着用のうえ、灯火類・方向指示器、バックミラーなどを整備する必要がある。
ナンバーがついていない「野良」電動キックボードで公道を走るのが違反であるのはいうまでもない。
■特例電動キックボードは自転車ではなく小型特殊自動車扱いである!
先日、家の近所の歩道を歩いていたら、特例電動キックボードにさっそうと抜かされたのでびっくりして写真を撮ったのがこちらだ。
おそらく多くの人が、電動キックボードを自転車の延長線として考えているのだと思われる。確かに一方通行の道でも、「自転車を除く」と書かれていれば、特例電動キックボードだと自転車同様逆走できる。
だが特例電動キックボードは自転車ではなく、運転免許の試験に合格して運転免許証を持っている人しか乗れない、れっきとした小型特殊自動車なのだ。
免許なく電動キックボードを運転すれば、当然無免許運転となり、3年以下の懲役又は50万円の罰金と、違反点数25点が科される。就職などで免許が必要となっても、25点の違反だと欠格期間が2年間あり、その間は免許が取れないことになる。
小型特殊自動車は、通常は農耕用トラクターやフォークリフト、ショベルカーなど特殊な構造を持つものが該当するもの。原付や小型自動二輪と一緒にしてしまうとヘルメットの着用義務があるため、トライクなどヘルメットのいらない小型特殊というカテゴリーに無理やり特例キックボードを分類してしまった感は拭えない。
念のためだが、自動車普通免許を持っていれば小型特殊も原付も運転できるが、原付免許のみの人は小型特殊は運転できないので特例電動キックボードは運転できないということになる。
原付は片側3車線以上(右折レーンなども含む)の道路の交差点では二段階右折を行うことが義務だが、小型特殊、つまり特例電動キックボードは逆に二段階右折は禁止されていて、摘発されると「交差点右左折方法違反」で反則金3000円、違反点数1が科せられる。
筆者は大きな交差点の右折車線で信号待ちをしたことがあるのだが、電動ママチャリの最高時速23kmよりも遅い特例電動キックボードでクルマの流れに乗って一回で右折するのはかなり怖い。
だが二段階右折をすると違反になるので、難しいところだ。電動キックボードを押して歩けば歩行者扱いになるので、大きな交差点で恐怖感がある時にはとりあえず押して横断歩道を渡り、そこからモーターを使って発進する、実質二段階右折をするのがいいかもしれない。
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