毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はトヨタ カリーナ(1970-2001)をご紹介します。
文/伊達軍曹 写真/TOYOTA
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■千葉真一、「足のいいやつ」のコピーとともに現れたカリーナ
1970年に、プラットフォームとパワートレインを当時のトヨタ セリカと共用する「カローラより1クラス上のスポーティセダン」として誕生。
アクションスターの故・千葉真一さんを大々的に起用したテレビCMは「足のいいやつ」というキャッチフレーズとともに話題となり、またその車自身の出来の良さもあって大ヒットを記録。
その後、代を重ねながら2000年代まで生産され続けたが、折からの「セダン離れ」により2001年には終売に。
後継となった「アリオン」に後を託したが、そのアリオンも2021年に生産終了となったことで、いよいよその命脈が完全に途絶えた“足のいいやつ”。
それが、トヨタ カリーナです。
トヨタ クラウンの下のクラスを受け持つファミリーカーとして1957年に登場したのがトヨタ コロナ。
そのコロナとほぼ同サイズの「しかしコロナよりずいぶんスポーティなセダン」として1970年に発売されたのが初代トヨタ カリーナでした。
当時のトヨタ セリカとプラットフォームを共用し、途中からはセリカGTと同じ2T-G型1.6L DOHCエンジンも搭載。
車としての出来の良さに加えて、「足のいいやつ」という非常に印象的なコピーも効果的だったのでしょう。初代カリーナはスマッシュヒットを記録しました。
その後3代目まではセリカと歩調を合わせてモデルチェンジを行いましたが、4代目ではFFシャシーに変更。そして5代目以降はコロナと共通のプラットフォームを使うことになりました。
それでもカリーナは「足のいいやつ」としてのイメージを保ち続け(※そのコピーが使われたのは4代目まででしたが)、派生モデルである「カリーナED」の初代および2代目も、当時の比較的若いユーザーからの支持を集めました。
しかし1990年代に入ると、カリーナはコロナとともに輝きを失いはじめ、1992年から1996年まで販売された6代目カリーナは前作の半分ほどしか売れませんでした。
1996年発売の7代目カリーナは、スポーティな4A-GE型1.6L DOHCエンジン+5MTの「GT」もラインナップするなどして奮闘しましたが、失地回復には至らず。
そのためトヨタは2001年11月に7代目カリーナの生産を終了し、同年12月には販売も終了。
後継モデルはカリーナの名を名乗らず「トヨタ アリオン」となりましたが、そのアリオンも特に売れないまま一度フルモデルチェンジを行い、結局は2021年3月、生産終了と相成りました。
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