2021年8月27日に発売されたワゴンRスマイルのウリはスライドドアであることだ。これまで、軽自動車でスライドドアを採用してきたのは、N-BOXやタント、スペーシアなどスーパーハイトワゴンと呼ばれる、背の高いワゴンタイプしかなかったが、今回のワゴンRスマイルは全高が1700mmとハイトワゴンタイプ。
なぜここまでして、ワゴンRにスライドドアを付けたのか? ここで改めてスライドドアってどんな利点があるのか、その一方で欠点はあるのか、モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。
文/渡辺陽一郎
写真/スズキ、ダイハツ、ホンダ、ベストカーweb編集部
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■軽自動車の50%以上がスライドドアを採用する
2021年8月27日にデビューしたワゴンRスマイルの特徴は、全高が1700mmを下まわる軽自動車なのに、スライドドアを装着することだ。開発者は「ワゴンRのお客様に尋ねると、40%の方がスライドドアの装着を希望された」という。
軽自動車でスライドドアを普及させたのは、2007年に発売された2代目タント、2008年のパレット(スペーシアの前身)、2011年の初代N-BOXであった。この3車種の全高はすべて1700mmを上まわり、スーパーハイトワゴンと呼ばれる。
このタイプが好調に売れて、ダイハツが改めて市場調査を行ったところ、「スライドドアは欲しいが、タントのように背の高いボディは必要ない」という意見も根強く聞かれた。そこで開発されたのが、2016年に発売されたムーヴキャンバスであった。全高は1655mmだ。
ムーヴキャンバスは好調に売れて、ムーヴ全体の約60%を占める。2021年には、ムーヴキャンバスだけで1か月当たり5700台前後を販売しているから、2020年に登場した設計の新しいタフトの5400台よりも少し多い。
その結果、今の軽乗用車の売れ行きを見ると、50%以上がスライドドアを装着する。国内販売ランキングの上位にも、スライドドアを備えたハイトワゴンが並ぶ。
N-BOXは2021年1~7月の1か月平均届け出台数が1万8200台、スペーシアは1万2800台、タントは1万1000台という具合だ。
逆にスライドドアを装着せずにすべてのドアが横開きの軽自動車は、ハスラーが7700台、ワゴンRは4700台、N-WGNは4500台だ。N-WGNの売れ行きは、スライドドアを備えたスーパーハイトワゴンのN-BOXに比べると、約25%程度に留まる。大幅に少ない。
スズキでは軽自動車のスーパーハイトワゴンやムーヴキャンバスの成功もあり、ワゴンRスマイルを企画した。販売店からは「お客様から、スズキにはムーヴキャンバスみたいなクルマはないのか、という質問を受けた」という話も聞かれた。
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