■トヨタiQ:1代で消えたシティコミューター/コンパクトカーの客層を取り込めなかった?
iQは主にスマートフォーツーのようなシティコミューターとしての使われ方を想定した超小型車として2008年に登場した。シティコミューターが主な使われ方というのはスマートフォーツーと同じでも、iQがスマートと大きく違ったのは全長2985mm×全幅1680mm×全高1500mmというボディサイズながら4人乗りを可能としたことである。
このボディサイズで4人乗りを実現するべくiQにはタイヤを前に出すためのトランスミッションの構造の変更、燃料タンクのフラット化、エアコンの小型といった新技術が盛り込まれた。
しかし、iQはこれだけの新技術を盛り込んだため、原価を下げられなかったのも分かるのだが、マイクロプレミアムカーという点を強調し、価格も1リッター3気筒エンジンを搭載した初期モデルで140万円からと、安くはなかった。
さらに当時140万円出せば、4人がちゃんと乗れて維持費の安い軽乗用車やファーストカーとしても十分使えるフィットの1.3リッターといったコンパクトカーがいくらでも買えたのも事実だった。
結果iQは登場時の2500台という月間販売目標に対し約7年半のモデルサイクルにて、2014年までの約6年間で約3万台しか売れず、2016年に絶版となった。
iQに関しては、普遍性のあまりないiQを登場時に「日本で月に2500台売れるだろう」と想定したことに対し今になると驚くと同時に、新技術のための投資も大きかったことも考えると、iQの収支決算はよくなかったであろう点を気の毒に感じる。
■ホンダHR-V:デビュー時の勢いを取り戻せず絶版に/時代の先を行きすぎた?
HR-Vはフィットの前身となるロゴのプラットホームなどを使った、当時ホンダが展開していたJムーバーシリーズとしてはマルチワゴンのキャパに続く第二弾として1998年に登場した。
HR-Vは今でいうコンパクトクロスオーバーで、登場時は3ドアでスタートし、翌1999年に5ドアを追加。3ドアはスペシャリティな部分も持っており、近年のモデルで例えるなら日産ジュークのような部分も備えていた。
HR-Vは機能的な問題はなかったのだが、クロスオーバーということで腰高に見えるスタイルが悪かったのか、コンセプトが当時の日本人には新しすぎて理解できなかったのか、月間販売目標は登場時の3500台から拡販の要素となる5ドアが加わった約1年後に3000台と減少し続け、最後の改良となった2003年のマイナーチェンジの際には300台になってしまった。
最終的にHR-Vは2006年に絶版となるのだが、日本での7年少々の販売期間における販売台数は約7万台に留まった。ただ、HR-Vは欧州では人気だったため、HR-Vの車名は北米や欧州では今もヴェゼルの現地名として使われているのは救いである。
■ホンダアヴァンシア:ひっそりと消えた上級ワゴン/オデッセイに顧客を奪われた?
1999年登場のアヴァンシアは当時のアコードワゴンとオデッセイの中間的な存在となる、ミニバン寄りでラグジュアリーな部分も持つ5人乗り2列シートのステーションワゴンである。
当時の2代目オデッセイと同じ2.3リッター直4と3リッターV6を搭載していたアヴァンシアは、乗っている人によると「ビッグセダンみたく快適ないいクルマだよ」という声を聞くなど、オーナーの満足度は高かった。価格も初期モデルで223万5000円からと、オーナーの満足度も加味すれば、リーズナブルだったと思う。
しかし、アヴァンシアはコンセプトの分かりにくさが決定的だったのに加え、同じような価格でオデッセイが買えたこともあり、中途半端な感は否めず、当初の月間販売目標の3000台には到底及ばないほど販売は低迷。
テコ入れのため2001年のマイナーチェンジでは2.3リッター4気筒エンジン搭載車にほどよいスポーツ性をミックスしたヌーベルバーグを追加。ヌーベルバーグは215万円という低価格ながら、乗るとさらにいいクルマ度が増していたにも関わらず、浮上のきっかけにはならなかった。
結局、アヴァンシアはオデッセイが3代目モデルとなった2003年に絶版となり、4年の販売期間での販売台数は約2万4000台と想定を大幅に下回った。
コメント
コメントの使い方