■Z32型フェアレディZ/イエローパール
もうひとつは、同年7月にデビューしたZ32型日産フェアレディZに採用された「イエローパール」だ。
Z32は、その造形自体がそもそもインプレッシブで素晴らしかったわけだが(もちろん最高出力280psのVG30DETT型V6ツインターボも素晴らしかったわけだが)、もしもこのイエローパールというボディカラーが適用されていなかったら、Z32というクルマは、人々の心にここまで刺さらなかった可能性もある。
「いや、カラーにかかわらずZ32は名車だよ!」という意見もあるだろう。確かにそうかもしれない。
だが、イエローパールという純正色のなんともいえない「S30を思い出させる郷愁感と、それと同時にあるビビッドな未来感」という絶妙さこそが、名車Z32を「さらなる名車」として、人々の心に深く突き刺さることに貢献したと思えてならないのだ。
■NA型ユーノスロードスターVスペシャル/ネオグリーン
そして同じく1989年9月には、日本の名車を語るうえでは絶対に外すことのできないマツダ(当時ユーノス)ロードスターが誕生し、1989年9月にユーノスロードスターがデビューした際の純正色は「クリスタルホワイト」と「クラッシックレッド」「マリナーブルー」「シルバーストーンメタリック」の4色だった。
まぁこの4色も悪くない色味だが(特にマリナーブルーは素晴らしい)、もしも「ネオグリーン」が登場しなければ、NAこと初代マツダロードスターのその後のイメージは、現在のそれとは少々違うものになったのかもしれない。
そんなネオグリーンが初めて人々の前に現れたのは、上記4色が発売された3ヵ月後、1989年10月の第28回東京モーターショーでのことだった。
参考出品車として展示された「ロードスター Vスペシャル」は、英国車のブリティッシュ・レーシング・グリーンを思わせるネオグリーンなるボディカラーとタンカラーの本革シート、そして各種のウッドパーツを備えた上級仕様。
そのシブさとカッコよさに来場者は熱狂した。そして翌1990年8月、ネオグリーンのVスペシャルは「ユーノスチャンネル創業1周年記念車」として正式発売されるに至ったのだ。
というかネオグリーン、こういったウンチクは抜きにしても素晴らしすぎる色味である。筆者が以前購入したのは「シャストホワイト」のNAだったが、本当は心の底から「ネオグリーン」が欲しいと思っていた(……そのときはネオグリーンのいいタマがなかったんですよね)。
■初代エクストレイル/サンドカーキ、アッシュカーキ
個人的な話はさておき、まさに今最高潮を迎えている「アースカラー(カーキ色)ブーム」の端緒となったのは、2000年11月に登場した初代日産エクストレイルに用意された2種類のカーキ色、「サンドカーキ」と「アッシュカーキ」だった。
T30こと初代エクストレイルのテーマカラーはカーキ系ではなく赤、具体的には「バーニングレッド」で、あれはあれでナイスな色だ。
しかしエクストレイルという車の「たたずまいの良さ」を広く知らしめ、そして後の世にまで続くブームの発端となったのは、2種類のカーキ色だったのだ。
しかしながら現在、初代エクストレイルの中古車のうちサンドカーキとアッシュカーキの数はきわめて希少。世界的なカーキ色ブームの立役者のひとつである割には、なんとも残念である。
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