■カローラクロスのいまひとつな欠点→全幅が1825mmだから取り回しがやや難、後席が狭い、Zグレードの乗り心地が硬い、ガソリンエンジンにアイドリングストップがない
●2021年9月14日発売。月販目標4000台、事前受注開始から約1ヵ月で約1万3500台受注
日本の使用環境に適したミドルサイズSUVだ。プラットフォームはカローラやC-HRと共通で、カローラクロスは荷室容量に余裕を持たせた。ガソリンエンジンとハイブリッドの価格差を35万円に抑えるなど、実用性と割安感を重視している。
選ぶ時の注意点として全幅が挙げられる。1825mmとワイドだから、裏道や駐車場での取りまわし性を確認したい。
荷室の奥行寸法に余裕を持たせたこともあり、後席の足元空間はあまり広くない。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ半だ。4名乗車は可能だが、2つ半を確保するヴェゼルに比べると狭い。
乗り心地は全般的に快適だが、18インチタイヤのZは少し硬い。17インチのSが快適だ。また4WDのリアサスペンションは独立式のダブルウイッシュボーンだが、2WDは車軸式のトーションビームだから、2WDは4WDに比べて乗り心地が硬めだ。したがってZの2WDは最も硬く、Sの4WDは最も快適になる。
ガソリンエンジンにはアイドリングストップが装着されず、WLTCモード燃費は14.4km/Lに留まる。アイドリングストップのニーズは用途によって異なるが、ユーザーによっては信号待ちなどでアイドリングすることに罪悪感を抱く。アイドリングストップをオプション設定する必要がある。
またハイブリッドのWLTCモード燃費は26.2km/L(2WD)だから、ガソリンエンジンの燃料代は、ハイブリッドの1.9倍に達する。燃料代の格差が大きい。
その一方でガソリンエンジンとハイブリッドの価格差は35万円で、ハイブリッドは購入時の税額が約8万円安いため(Zの場合)、実質差額は27万円に縮まる。
レギュラーガソリン価格が1L当たり150円とすれば、5万~6万kmを走ると、燃料代の差額で27万円の実質差額を取り戻せる。
ガソリンエンジンは価格自体が安くても、燃費や静粛性の違いを考えると割高感が伴うので、カローラクロスでは受注台数の90%をハイブリッドが占めている。
■日産ノートのいまひとつな欠点→ガソリンエンジンが選べず価格が高い、足回りが固い、ノーマルモードでブレーキの協調制御がない
●2021年1~9月の1ヵ月の平均販売台数:約7500台(ノートオーラなどを含む)
ノートは国内向けに開発されたコンパクトカーで、内外装が上質だ。4名乗車の可能な室内空間が備わり、ファミリーカーとしても使いやすい。
ルノーがプラットフォームを開発したこともあり、ドライバーを中心に車両が旋回していく運転感覚も味わえる。車両との一体感を味わえて、クルマ好きのユーザーに適したコンパクトカーでもある。
現行型の特徴はハイブリッドのe-POWER専用車にしたことで、純ガソリンエンジンが選べない。そのために価格はすべて200万円を超える。
しかもLEDヘッドランプはアダプティブ機能とセットで9万9000円のオプションだ。人気の高い運転支援機能のプロパイロットも、カーナビの機能を使い、なおかつインテリジェントルームミラーなどもセットオプションに加えたから、装着するには44万2200円の上乗せになる。
プロパイロットは218万6800円のXだけに設定されるので、上記のセットオプションをLEDヘッドランプも含めてXに装着すると、合計価格は272万8000円だ。高額になるので、プロパイロットは日産車で人気の高い装備なのに、ノートの装着比率は約40%と低い。
プロパイロットのセットオプションに含まれるインテリジェントルームミラーは、液晶タイプだから、通常のミラーと違ってチェックする時に目の焦点が大きく移動する。
そのためにミラーを前方視界の一部に含めておき、頻繁に確認する作業もしにくい。角度によっては、鏡面の映り込みも気になる。
乗り心地は時速50km以下では少し硬い。足まわりをもう少し柔軟に伸縮させてほしい。
またe-POWERは、従来型と同じくブレーキの協調制御がない。最良の燃費性能を得るには、エコ、あるいはスポーツモードを選ぶ必要があり、アクセルペダルを戻すと強めの制動力が働く。このワンペダルドライブが好みに合わず、ノーマルモードで走ると、良好な燃費性能を得られない。
そしてノートを購入したユーザーの約20%は、燃費の悪いノーマルモードを使っている。トヨタのTHSIIやホンダのe:HEVと同様、ノーマルモードでブレーキペダルを踏んでも、減速エネルギーを使って積極的に発電/充電する協調制御を採用してほしい。
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