■スズキスペーシアのいまひとつな欠点→サイドウインドウの下端が高い、標準仕様はNAのみ、低燃費重視タイヤのため乗り心地が固い
●2021年1~9月の1ヵ月の平均販売台数:約1万1800台
N-BOXに続いて好調に売れている軽自動車がスペーシアだ。全高が1700mmを超えるボディにスライドドアを装着した売れ筋のカテゴリーで、しかも標準ボディ、エアロパーツを装着したカスタム、SUV風のギアと選択肢を豊富に用意した。その結果、売れ行きも伸びている。
天井の高いボディで車内は広く、フタの付いた収納設備、引き出し式のカップホルダーなども豊富だ。小物類が雑然としないように配慮した。
その代わり欠点もある。水平基調のボディだから基本的に視界は良いが、N-BOXや先代スペーシアに比べると、ドライバーの視線に対してサイドウインドウの下端が高い。小柄なドライバーは、クルマに潜り込んだ感覚になり、背の低い障害物も見にくい。
後席の背もたれを前側に倒すと、座面も下がって簡単に畳めるが、広げた荷室の床には少し傾斜ができる。
ターボを装着しないNAエンジンは、最大トルクが6.1kgmに留まる。車両重量はハイブリッドXが870kgと比較的軽いが、実用域を中心に、幅広い回転域で動力性能が不足する。登坂路でアクセルペダルを踏み増すと、粗いエンジンノイズが響きやすい。
その意味ではN-BOXと同じくターボを選びたいが、スペーシアの場合、ターボの設定はカスタムとギアのみだ。標準ボディはNAエンジンに限られる。
操舵感は鈍さを抑えて適度に良く曲がるが、乗り心地は硬めだ。転がり抵抗を抑えた低燃費重視のタイヤを装着して、指定空気圧は前後輪ともに240kPaと高いから、細かなデコボコを伝えやすい。
軽自動車は燃費数値を重視して開発する傾向が強いため、乗り心地をライバル車同士で比較して選びたい。
■トヨタヤリスのいまひとつな欠点→後席が狭い、斜め後方と真後ろの視界は悪い、登坂路では3気筒特有の粗いノイズが耳障り、乗り心地が固い
●2021年1~9月の1ヵ月平均販売台数:約9100台(ヤリスクロスとGRヤリスを除く)
ヤリスはコンパクトカーの人気車種だ。ハイブリッドのWLTCモード燃費は35.4~36km/Lと優秀で、日本で購入可能な乗用車では燃費数値が最も優れている。
車両重量も最上級のハイブリッドZが1090kg(2WD)と軽く、燃費と合わせて加速性能も良好だ。1.5LのNAエンジンには6速MTも用意した。
その代わり後席は狭い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ少々だ。頭上にも握りコブシが1つ収まらない。
ちなみにライバル車のフィットは、ヤリスと同じ測り方をして、膝先空間は握りコブシ2つ半になる。頭上にも窮屈に感じさせない余裕があり、後席も快適だ。ヤリスを買う時は、フィットやアクアなど、ヤリスよりも後席の広いコンパクトカーと比べたい。
ヤリスの荷室は、床面積についてはコンパクトカーの平均水準に達するが、リアゲートを大きく寝かせたから背の高い角張った荷物は積みにくい。
コンパクトカーだから全長は4m以内で小回りも利くが、サイドウインドウの下端を後ろに向けて持ち上げたので、斜め後方と真後ろの視界は悪い。購入時には、縦列駐車を行うなど、後方視界も確かめておきたい。
ボディが軽いので、1.5LのNAエンジンとハイブリッドは加速が軽快だが、登坂路では3気筒特有の粗いノイズが耳障りだ。
全般的にスポーティ感覚を重視して、機敏に曲がる傾向が強い。この影響で乗り心地は硬めだ。特にXやGに標準装着される14インチタイヤは、転がり抵抗を抑えた仕様で、指定空気圧も前輪が250kPa、後輪は240kPaとかなり高い。14インチタイヤ装着車は、路上の細かなデコボコを伝えやすく、段差の通過などでは突き上げ感も気になる。
装備については、1Lエンジンを搭載するX・Bパッケージに注意したい。Xに装着される衝突被害軽減ブレーキと運転支援機能を省き、しかも価格はXに比べて6万円しか安くならない。
ディーラーオプションではCD・DVDデッキを用意するが、助手席の下側に設置するので、信号待ちの時などに簡単に操作することはできない。
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