マツダやベンツが新開発する直6エンジン!! V6エンジンはなくなるのか?

環境性能の見直しで直6エンジンが再勃興!! V6エンジンはなくなる? 残る?

 かつての6気筒エンジンの主流といえば、V6がほとんどであった。しかしここのところ直6が流行の兆しを見せている。大きなインパクトとなったのはベンツがそれまでのV6エンジンに替えて新開発の直6エンジンを採用したことだ。

 そしてマツダもこの先プレミアムクラスに新開発の直6エンジンを投入することを発表している。BMWのような直6一筋のメーカー以外も採用が拡大しているのだ。

 この先厳しくなる環境性能の向上に、直6レイアウトが有利との話も聞かれる。果たしてV6エンジンはなくなってしまうのだろうか?

文/鈴木直也、写真/ベストカー編集部

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■直6からV6、そしてふたたび直6へ……エンジンの栄枯盛衰

90年代終わりから2000年代初めのV6時代の嚆矢となった1997年登場のメルセデスベンツ Sクラス

 電動化という大きな流れの中で、内燃機関が生き残るには何より熱効率(≒燃費)の向上が不可欠。気筒数や排気量を削減し、過給技術や電動アシストによってCO2排出量を減らすべく技術者たちは奮闘している。そういう時代になると、肩身が狭いのが多気筒/大排気量エンジンだ。

 5リッターV8ツインターボみたいな高性能エンジンは、CO2排出量の面では諸悪の根源だが、その一方ではそういうエンジンを積んだ高級スポーツカーはメーカーにとってドル箱。

 1千万円オーバーのプレミアムクラスなら、燃費ペナルティやCO2課税などがあったとしても、余裕で価格に上乗せ可能。ビジネスを考えると、今後10年以上は稼げるセグメントとして存続するだろう。

 難しいのは、中間ゾーンのエンジンだ。排気量3L、シリンダー数6気筒。500〜800万円くらいのプレミアムセダンやSUVは、グローバルで見ると年間1000万台近くある意外に大きな市場。ここで内燃機関に生き残ってもらうには、技術的にもマーケティング的にもひと工夫が必要となる。

 それが、最近目立つようになった直列6気筒の復権だ。そもそも、80年代まで主流だった直列6気筒が廃れたのは、97年にベンツが初のV6(M112)を投入したあたりがターニングポイントだった。

 その時の謳い文句は「衝突安全性を考えると全長の長い直6では基準を満たすことができない」というもの。

 また、全長の短いV6は横置きFFレイアウトとの相性がいいし、V6とV8で加工ラインや部品を共有するモジュラーエンジン構想でコスト的にも有利など、これからはV6の時代であることを強く主張していた。

■君子豹変! V6時代をリードしたベンツが直6を投入

ベンツの方針転換(手のひら返し?)を受けて追随したランドローバーは3リッター直6の“INGENIUM”を投入した

 そんな“V6優位論”の家元だったベンツが、あっさり掌を返して直6を投入してきたのは驚いた。

 2017年にベンツが新しい直6(ガソリン版がM256、ディーゼル版がOM656)を投入した時、20年前に主張していたことが180度ひっくり返っていたからだ。

 かつて、衝突時に不利とされていた直6の長さは、ボディ設計の技術が進化したことで課題を克服。逆に、近年重視されるようになってきた、オフセット衝突やスモールオフセット衝突では、エンジンの「幅の狭さ」が衝突エネルギー吸収の面でメリットになっているという!

 また、強化される一方の排ガス規制への対応でも、かさばる排ガス処理システムをエンジンの右か左どちらか一方にまとめられるという点で、V6より直6の方が合理的。とくに、DPFや尿素SCRなど排ガス処理システムの複雑なディーゼルでは、もはやV6では成立し難いとすら言われている。

 このベンツの方針転換には、さっそくジャガー・ランドローバーが追随して“INGENIUM”3L直6を投入してきたし、ご存知のとおりマツダも2020年の中期経営方針で開発中の3L直6エンジンを公開している。20年前と同様、ベンツ主導のエンジン戦略は狙いどおりの成功を収めつつあるといっていい。

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