かつての6気筒エンジンの主流といえば、V6がほとんどであった。しかしここのところ直6が流行の兆しを見せている。大きなインパクトとなったのはベンツがそれまでのV6エンジンに替えて新開発の直6エンジンを採用したことだ。
そしてマツダもこの先プレミアムクラスに新開発の直6エンジンを投入することを発表している。BMWのような直6一筋のメーカー以外も採用が拡大しているのだ。
この先厳しくなる環境性能の向上に、直6レイアウトが有利との話も聞かれる。果たしてV6エンジンはなくなってしまうのだろうか?
文/鈴木直也、写真/ベストカー編集部
■直6からV6、そしてふたたび直6へ……エンジンの栄枯盛衰
電動化という大きな流れの中で、内燃機関が生き残るには何より熱効率(≒燃費)の向上が不可欠。気筒数や排気量を削減し、過給技術や電動アシストによってCO2排出量を減らすべく技術者たちは奮闘している。そういう時代になると、肩身が狭いのが多気筒/大排気量エンジンだ。
5リッターV8ツインターボみたいな高性能エンジンは、CO2排出量の面では諸悪の根源だが、その一方ではそういうエンジンを積んだ高級スポーツカーはメーカーにとってドル箱。
1千万円オーバーのプレミアムクラスなら、燃費ペナルティやCO2課税などがあったとしても、余裕で価格に上乗せ可能。ビジネスを考えると、今後10年以上は稼げるセグメントとして存続するだろう。
難しいのは、中間ゾーンのエンジンだ。排気量3L、シリンダー数6気筒。500〜800万円くらいのプレミアムセダンやSUVは、グローバルで見ると年間1000万台近くある意外に大きな市場。ここで内燃機関に生き残ってもらうには、技術的にもマーケティング的にもひと工夫が必要となる。
それが、最近目立つようになった直列6気筒の復権だ。そもそも、80年代まで主流だった直列6気筒が廃れたのは、97年にベンツが初のV6(M112)を投入したあたりがターニングポイントだった。
その時の謳い文句は「衝突安全性を考えると全長の長い直6では基準を満たすことができない」というもの。
また、全長の短いV6は横置きFFレイアウトとの相性がいいし、V6とV8で加工ラインや部品を共有するモジュラーエンジン構想でコスト的にも有利など、これからはV6の時代であることを強く主張していた。
コメント
コメントの使い方