内装の質感/居住性比較
インパネの造りは、ATレバーの配置など、両車ともに似ている。内装の質感は、発売から5年を経過したムーヴキャンバスも古さを感じさせない。
異なるのはメーターだ。ワゴンRスマイルはステアリングホイールの奥側に配置したが、ムーヴキャンバスはインパネ中央の高い奥まった位置に備わる。運転中にメーターを見る時、ムーヴキャンバスでは上下の視線移動は少ないが、少し左に寄るから一長一短だ。
そこでワゴンRスマイルは、ヘッドアップディスプレイをセットオプションで用意した。インパネの上部に透明のディスプレイを立ち上げて、速度や交差点のカーナビ情報などを見やすく表示する。
前席の居住性は両車ともに互角だ。ベンチシートが装着され、適度に体が沈んだ部分で支えるから、ボリューム感も伴う。後席は両車ともに足元空間が広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は、両車ともに握りコブシ3つ半に達する。頭上の空間は天井の高いワゴンRスマイルに少し余裕があるが、ムーヴキャンバスでも充分だ。
後席の座り心地は両車で明らかに異なる。ワゴンRスマイルは、前席ほどではないが柔軟性が伴って一般的な座り心地だ。ムーヴキャンバスは体がシートに沈みにくく、床と座面の間隔も不足しているから、足を前方へ投げ出す座り方になりやすい。後席の快適性はワゴンRスマイルが勝る。
*勝敗:ワゴンRスマイルの勝ち
荷室/シートアレンジ/収納設備比較
ムーヴキャンバスは、後席の下側に引き出し式の収納設備を装着した。引き出した状態で中敷きを立ち上げるとバスケット状になる。買い物袋をシートの上などに置くと、走行中に倒れて商品が散乱する心配もあるが、バスケット状の内部に収めると倒れにくい。その代わり後席のアレンジは単純だ。座面の下に収納設備があるから、背もたれを前に倒すだけになる。広げた荷室の床には傾斜ができる。
その点でワゴンRスマイルには、後席下側の収納設備がない。シートアレンジはワゴンRやスペーシアと同様で、後席の背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がり、平らな広い荷室に変更できる。ほかのスズキの軽自動車と同様、助手席の下には容量の大きな収納設備が備わり、ハンドルが付いているから車外に持ち出せる。
両車の機能は一長一短だ。バスケット状になる後席下側の引き出しを有効活用できるならムーヴキャンバス、そうでない場合は、広くて平らな荷室を得られるワゴンRスマイルが使いやすい。
*勝敗:引き分け
運転のしやすさ/視界/乗り心地比較
前方の視界は、ムーヴキャンバスの高い位置に装着されたメーターパネルが少し気になる。ワゴンRスマイルは、インパネの上面がスッキリしていて前方も見やすい。サイドウインドウの下端は、ワゴンRスマイルが若干高く、小柄なドライバーが運転すると、少しクルマに潜り込んだ感覚になりやすい。このように視界については、互いにメリットとデメリットがある。小回りの利きを示す最小回転半径は、両車ともに4.4mで等しい。
エンジンは両車ともにノーマルタイプのみだ。動力性能とエンジンノイズは互角になる。両車ともに街中の平坦路で使うなら不満はないが、登坂路ではパワー不足が感じられる。遮音は相応に行ったが、ノイズも高まりやすい。
走行安定性と操舵感は、ムーヴキャンバスが素直で曲がりやすい印象だ。また乗り心地もムーヴキャンバスが少し柔軟に感じられる。
*勝敗:ムーヴキャンバスの勝ち
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