スズキ新型軽「ワゴンRスマイル」は売れ筋ど真ん中を狙ってきた!!

スズキ新型軽「ワゴンRスマイル」は売れ筋ど真ん中を狙ってきた!!

 2021年9月10日に発売になった新型軽自動車ワゴンRスマイル。どこか愛嬌のある丸みのあるヘッドライトと両側スライドドアが目を引く魅力的なモデルだ。

 そこで早速この注目の新型軽に試乗を行ったのでレポートしよう!

文/渡辺陽一郎、写真/池之平昌信

【画像ギャラリー】注目のワゴンRスマイルの高品質な内装と愛嬌のあるエクステリア&両側スライドドアを写真でチェック!


■乗れば思わず笑顔になる!? ワゴンRスマイル登場

2021年9月に発売されたスズキ ワゴンRスマイル。両側に備えたスライドドアが特徴だ
2021年9月に発売されたスズキ ワゴンRスマイル。両側に備えたスライドドアが特徴だ

 最近登場した新型車を見ると、ヤリスクロス、カローラクロス、ノートオーラなど、人気車の車名を頭に付けることが多い。ヤリスクロスとカローラクロスはSUVだから、ヤリスやカローラとはまったく違うクルマだ。

 このような流れの中で、スズキからワゴンRスマイルが登場した。これもワゴンRの車名を冠しているが、ボディは大幅に異なる。全高は1695mmだから、ワゴンRに比べて45mm高く、後席側のドアはスライド式にした。

 スズキにはスライドドアを装着した背の高い軽自動車として、以前からスペーシアがある。この全高は1785mmだから、ワゴンRスマイルは90mm背が低い。つまりワゴンRスマイルは、ワゴンRとスペーシアの中間的な位置付けになる。

 ちなみに今日のスライドドアを備えた軽乗用車の多くは、全高が1700mmを超える。1700mm以下でスライドドアを装着するのは、全高が1655mmのムーヴキャンバスのみだ。

 なぜスズキはワゴンRスマイルを開発したのか。車名の由来も含めて、開発者に尋ねると以下のように返答した。

 「ワゴンRのお客様にスライドドアのニーズを尋ねると、約40%の方が欲しいと希望された。またスライドドアは欲しいが、スペーシアほど背の高いボディは不要という意見もある。そこでワゴンRスマイルを開発した。ワゴンRの車名を頭に付けた理由は、ワゴンRに近い全高で、スライドドアを備えるからだ」。

 販売店は以下のように述べた。「お客様から、スズキにはムーヴキャンバスみたいなクルマはないのか、という問い合わせを受けることが多かった。それだけにワゴンRスマイルは販売も好調だ」。

■ムーヴキャンバスを意識して開発! 内装の上質さと居住性はライバルを超えた?

全高1700mm以下でスライドドアを備えるのはこのワゴンRスマイルとダイハツ ムーヴキャンバスのみだ。他にもムーヴキャンバスとの共通点は多い
全高1700mm以下でスライドドアを備えるのはこのワゴンRスマイルとダイハツ ムーヴキャンバスのみだ。他にもムーヴキャンバスとの共通点は多い

 ワゴンRのライバル車となるムーヴキャンバスは、2016年に発売され、今でも1か月平均で5000台以上を販売している。ムーヴ全体の約60%をキャンバスが占めており、ワゴンRスマイルの開発も、ムーヴキャンバスの発売後にスタートした。

 そのためかワゴンRスマイルには、全高を1700mm以下に収めたこと以外にも、ムーヴキャンバスとの共通点が多い。フロントマスクは丸みのあるデザインで柔和に仕上げ、エアロパーツを装着したグレードは用意されない。ボディは1種類だけだ。

 ターボを備えたエンジンを設定しないことも、ムーヴキャンバスと共通だ。スズキのターボ比率は、スペーシアが20%、ハスラーは25%だが、ワゴンRは5%以下と少ない。そこでワゴンRスマイルも、ノーマルエンジンに限定した。

 ワゴンRスマイルは、デザインに重点を置いたから内装も上質だ。

 売れ筋のハイブリッドSとハイブリッドXのインパネには、光沢のあるパネルが装着され、色彩は外装色に応じてアイボリーとネイビー(濃いブルー)を選べる。ステッチ(縫い目)風のデザイン処理も施した。ATレバーはインパネの下側に装着され、操作性も良い。

 居住空間は広い。後席のスライド位置を後端まで寄せると、前後席に座る乗員同士の間隔は、ワゴンRと同じ1035mmに広がる。Lサイズセダンでも900~950mmだから、1000mmを超えると後席の足元空間は相当に広い。

 ワゴンRスマイルに身長170cmの大人4名が乗車すると、後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシ3つ少々に達する。

後席の足元の広さはLサイズセダン以上。渡辺氏も思わずスマイルだ
後席の足元の広さはLサイズセダン以上。渡辺氏も思わずスマイルだ

 しかも後席に座る乗員の足が前席の下側にスッポリと収まるため、後席を前側にスライドさせても座り心地が窮屈になりにくい。後席の膝先空間を握りコブシ2つ分まで詰めても快適で、この状態であれば、後席の後ろ側に十分な荷室を確保できる。

 注意したいのは後席の座り心地だ。座面の前側に丸みを付けたので、大腿部と接する部分が少し短い。座った時に違和感が生じる場合もある。開発者は「スライドドアを備えたクルマでは、ドアを開いた時に、後席座面の側面が良く見える。そこでシートの見栄えにも配慮した」と述べた。

 後席の背もたれを前側に倒すと、座面も連動して下がり、平らな荷室になる。後席のスライドと座面の昇降を伴う折り畳み機能は、両方とも左右独立式だ。ちなみに全高が1700mm以下の軽自動車で、後席のスライドと座面の昇降機能が両方とも左右独立になるのは、ワゴンR、ワゴンRスマイル、ハスラーに限られる。

 なおライバル車のムーヴキャンバスでは、後席の下側に引き出し式の収納設備を装着した。引き出した状態で中敷きを持ち上げるとバスケット状になり、この中に買い袋を収めると走行中に倒れにくい。

 ムーヴキャンバスでは、この「置きラクボックス」が特徴だが、後席の格納機能は単純だ。背もたれを前側に倒すだけなので、広げた荷室の床には段差と傾斜が生じる。

 そのためにムーヴキャンバスの使い勝手は、置きラクボックスを使うか否かで大きく変わるが、ワゴンRスマイルのシートアレンジはワゴンRやスペーシアと同じで一般的だ。特徴や新鮮味は乏しいが、幅広いユーザーにとって使いやすい。

次ページは : ■パワーに余裕が欲しいと感じる場面も

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