輸入車値上げ続出でもなぜ据え置き? 日本車が滅多に価格を上げない裏事情

■なぜ日本車は改良しないかぎり滅多に価格を変えない?

写真はトヨタのヤリスとホンダのフィット。国産車の場合、こうしたライバル関係があることも、頻繁に値上げをしない要因となっている
写真はトヨタのヤリスとホンダのフィット。国産車の場合、こうしたライバル関係があることも、頻繁に値上げをしない要因となっている

 ところが日本車は、輸入車のような価格の改訂を頻繁にはおこなわない。一部に例外はあるが、基本的に価格を変えるのは、フルモデルチェンジ、マイナーチェンジ、一部改良といった機能や装備を変更する時だけだ。

 原材料費の高騰などによる影響は、日本車にも生じているが、これはメーカーが吸収している。輸入車と違って、何も変更をおこなわずに価格だけ高めることはしない。

 この背景には、ライバル同士の厳しい競争がある。販売現場では値引き額を競うこともあるから、機能を向上させない単純な値上げを行えば、競争に負けてしまう。

 逆に競争関係の穏やかな車種は、人気も低調で販売台数も少ないため、値上げをしなくても原材料費の上昇分を吸収しやすい。その後のマイナーチェンジを実施した時などに、価格を調節する。

 ユーザーへの配慮もある。改良を加えて値上げしたなら納得できるが、単純な値上げでは、値上げ後に購入したユーザーは「もう少し前に買っておけば良かった」と残念に思う。ユーザーの購買意欲が下がったり、値上げに相当する値引きを要求されたりする。

 そもそも原材料費の高騰などは、ユーザーには関係のない話だ。改良を伴わない値上げを控える日本車のあり方が分かりやすい。

 逆に改良を伴わない値上げをする輸入車の考え方として、「高価格の輸入車を買う人達は、日本車に比べてクルマ好きだから、細かな値上げにはこだわらない。優れた商品を提供していれば購入してもらえる」という一種の甘えもあるだろう。

 実際には今の輸入車は必ずしも高価格とは限らず、日本車と比べて選ぶ対象になっている。それが不意に値上げしたりすれば、価格に対する信頼性も下がる。日本の小型/普通車市場における輸入車の販売比率は、約12%と低いが、その背景には値上げに代表される価格の扱い方も関係しているだろう。

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