後悔してからでは遅い かえって出費が増える前に行いたい車のメンテナンス

しまったと後悔してからでは遅い かえって出費が増える前に行いたい早め早めのクルマメンテナンス

 運転しても気付かないほどの小さなほころびが、徐々に異音や振動、臭いなどでトラブルの前兆を伝えてくるようになる。「そのうち修理に出さないとダメだな」とか、「そろそろ、修理に入れるかなぁ」なんて、運転する度に思うものの、ついつい後回しにしてしまうものだ。

 しかし放っておくと、後で驚くほどの出費を強いられたり、クルマの寿命を左右してしまうことになる。

 街で信号待ちをしている時などに、エンジンやブレーキから異音を放ちながら通過するクルマを見たことがないだろうか。

 明らかにエンジンが終わっているような異音を放っているクルマ(軽自動車や商用車が多い)は、放ったらかし、乗りっ放しの仕打ちを受けていることを伝えてくるが、それらはもう手遅れの断末魔が放つ悲鳴だ。

 けれども警戒すべきはそれではない。今修理すれば、軽傷で済むような状態なのに、そのまま走らせていることだ。それが原因で出費が嵩んだり、他の部分にまでダメージがおよぶことになるのだ。

 こうした症状をそのままにしておいて、あとあと「しまった! やっておけばよかった」と後悔しないように、早め早めのうちにやっておきたいメンテナンスを紹介していきたい。

文/高根英幸
写真/Adobe Stock(トビラ用:WavebreakmediaMicro@Adobe Stock)

【画像ギャラリー】重要なメンテナンス箇所を一挙確認 ほったらかしが一番高くつく!(11枚)画像ギャラリー

■ブレーキ回りが最も重要なメンテナンス箇所

ローターからキーキーと音が出ているのにまだ大丈夫だろうという安易な考えでメンテナンスを延ばし延ばしにしていませんか? 放置した結果、ローターを交換する羽目になり。気付いた時点でメンテをしていればそうはならなかった……ということありませんか?(pongmoji@Adobe Stock)

 エンジンよりもメンテナンスで大事なのは、安全に直結するブレーキの能力だ。キーキーと足回りから音が出ているにも関わらず、「普通に走れているから」という感覚だけで、乗り回されているクルマを見かけるのは今や珍しくない。

 自分でメンテナンスする筆者のようなオーナーやメカニックからすれば、クルマが悲鳴を上げているのに鞭打って働かせるような印象を受けて、いたたまれない気持ちになるものだ。

 高い音を発しているのは薄い鉄板で作られたセンサーで、ディスクローターと接触することによりパッドの摩耗限界を知らせているのだ。

 国産車の場合、ローターが極端に摩耗することは少ないが、パッドの摩耗限界を超えてもそのまま使い続けると最悪のケースでは、ブレーキパッドの摩材が完全に消失し、摩材が貼られていたバックプレートがディスクローターと接触して制動する(フルメタルパッドと冗談で言われる)状態になってしまう。

 これでもゆっくり走っていれば止まれる状態なのかもしれないが、とっくに整備する限界を超えている。

 こうなるとブレーキパッドを交換するだけでは、元の性能を取り戻すことはできない。偏摩耗したローターも交換、もしくは研磨して、キャリパーも点検してオーバーホールする必要がある可能性が出てくる。

 こうした症状のクルマに乗っているのは、クルマ好きではなく、飛ばすようなドライバーでもない、普通のドライバーが多い。

 「クルマにお金をかけたくない」という感覚が強いのかもしれないが、乗りっ放しでお金をかけないことで、かえって出費が増えたり、交通事故の原因となって後悔することになりかねないことを知っておくべきだ。

■足回りの異音を放っておくと大ダメージに発展する恐れも

左右のサスペンション同士をつなぎ、U字型やコの字型の棒状のパーツでコーナーを曲がる時など横揺れやロールを抑えるスタビライザーを、スタビライザーを車体に固定して支える部品がスタビリンクでボールジョイントと呼ばれる人間でいうと関節のようなものが付いている(ohms1999@Adobe Stock)

 足回りで比較的寿命が短いのが、左右のサスペンションを連結するスタビリンク(スタビライザーリンク)だ。

 このスタビリンクは傷んでくるとボールジョイントにガタが生じ、カタカタ音が気になるけれど、放っておいてもガタが大きくなるだけで、ほかのメカニズムにダメージをおよぼすことは少ない。

 けれども、こうした足回りの異音を放っておくと、別の原因で異音が起こっている場合に気付きにくく、取り返しのつかないことになるから気を付けたい。

 それよりも走っていても分からないけれど、ダメージがおよんでいる部分もあることに注意が必要だ。それは足回りや駆動系のゴム部品。もっとはっきり言えばブーツ類である。

ドライブシャフトブーツは、ステアリング操作をタイヤに伝えるジョイントを保護する部品で蛇腹状になっている。破れや亀裂がないか、グリスが飛び出ていないかを車検ではチェックされ、破れていると車検に通らない(sugiwork@Adobe Stock)

 ドライブシャフトのCVジョイント(等速ジョイント=角度がついても回転中の角速度が変わらない継ぎ手)には蛇腹状のブーツが被せられていて、たくさんの大きなボールベアリングが収まるジョイントを潤滑するグリスを保持している。最近のブーツは5年くらいでは破れないが、7年10年と乗り続ければやがて亀裂が入って、裂けてしまう。

 そこまで乗り続けないオーナーには関係のない話だが、クルマは次のオーナーへと乗り継がれるから、やがてブーツは傷み始める。

 車検時に予防整備として完全に裂ける前に交換されていればいいが、そのまま使われ続けていれば、ある時にブーツは完全に裂けてグリスが流れ出し、潤滑不良から継ぎ手部分の部品が摩滅し始めるのだ。

 本来、潤滑がちゃんと行なわれていれば、10万kmを超えても、まったく問題なく使い続けることができる(当然、車種や乗り方でも左右するが)モノだけに、裂ける前(もしくは裂けた直後)にブーツ交換をしてグリスを補充していれば、摩耗は抑えられる。

 もっともドライブシャフトがダメになっても、それほど悲観することはない。ドライブシャフトのCVジョイントにガタが出たらオーバーホールしなければならなくなるが、現在はリビルド業者がリビルドしたドライブシャフトに交換するのが一般的だ。

 専門の工場で分解洗浄して検査後に組み上げられたドライブシャフトを利用する方が、整備工場やディーラーでオーバーホールキットを使って組み直されたドライブシャフトより、高品質でリーズナブルなので、今や主流となっている。出費は車種によっても異なるが、ドライブシャフト交換はFF車にとって特別な整備ではなくなっているのだ。

次ページは : ■エンジンはオイル管理とベルトの状態に注意