■足回りの異音を放っておくと大ダメージに発展する恐れも
足回りで比較的寿命が短いのが、左右のサスペンションを連結するスタビリンク(スタビライザーリンク)だ。
このスタビリンクは傷んでくるとボールジョイントにガタが生じ、カタカタ音が気になるけれど、放っておいてもガタが大きくなるだけで、ほかのメカニズムにダメージをおよぼすことは少ない。
けれども、こうした足回りの異音を放っておくと、別の原因で異音が起こっている場合に気付きにくく、取り返しのつかないことになるから気を付けたい。
それよりも走っていても分からないけれど、ダメージがおよんでいる部分もあることに注意が必要だ。それは足回りや駆動系のゴム部品。もっとはっきり言えばブーツ類である。
ドライブシャフトのCVジョイント(等速ジョイント=角度がついても回転中の角速度が変わらない継ぎ手)には蛇腹状のブーツが被せられていて、たくさんの大きなボールベアリングが収まるジョイントを潤滑するグリスを保持している。最近のブーツは5年くらいでは破れないが、7年10年と乗り続ければやがて亀裂が入って、裂けてしまう。
そこまで乗り続けないオーナーには関係のない話だが、クルマは次のオーナーへと乗り継がれるから、やがてブーツは傷み始める。
車検時に予防整備として完全に裂ける前に交換されていればいいが、そのまま使われ続けていれば、ある時にブーツは完全に裂けてグリスが流れ出し、潤滑不良から継ぎ手部分の部品が摩滅し始めるのだ。
本来、潤滑がちゃんと行なわれていれば、10万kmを超えても、まったく問題なく使い続けることができる(当然、車種や乗り方でも左右するが)モノだけに、裂ける前(もしくは裂けた直後)にブーツ交換をしてグリスを補充していれば、摩耗は抑えられる。
もっともドライブシャフトがダメになっても、それほど悲観することはない。ドライブシャフトのCVジョイントにガタが出たらオーバーホールしなければならなくなるが、現在はリビルド業者がリビルドしたドライブシャフトに交換するのが一般的だ。
専門の工場で分解洗浄して検査後に組み上げられたドライブシャフトを利用する方が、整備工場やディーラーでオーバーホールキットを使って組み直されたドライブシャフトより、高品質でリーズナブルなので、今や主流となっている。出費は車種によっても異なるが、ドライブシャフト交換はFF車にとって特別な整備ではなくなっているのだ。
■エンジンはオイル管理とベルトの状態に注意
ファンベルトは今やクーリングファンは回さず、エアコンのコンプレッサーやオルタネーター、ウォーターポンプなどの補機類を駆動するものとなっている。
屈曲性の高いリブベルトによりクネクネと補機類を辿ってクランクプーリーに戻ってくるレイアウト(サーペンタイン式と呼ばれる)モノが一般的になり、ベルト1本ですべての補機類を駆動しているのだ。
それだけにベルトや、その張力を調整するベルトテンショナーの役割が重要になる。街で見かけるクルマでも信号待ちでは普通にアイドリングしているのに、発進する時にいきなり「ギュー」とか「ギャー」という悲鳴のような激しい異音を放つクルマは、ベルトやテンショナーに問題が起こっている。
すぐに整備工場に行って点検、修理してもらえばベルト交換やテンショナー交換だけで済む。ところがダマシダマシ乗っていると、最悪の場合ベルトが切れたり、テンショナーが壊れて、クランクプーリーにベルトが巻き付いてプーリーやエンジンにダメージを与えてしまうことにもなりかねない。
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