ダイハツがシリーズ方式HV版ロッキーを発売!! 見えてきた軽自動車のEV戦略

ダイハツがシリーズ方式HV版ロッキーを発売!! 見えてきた軽自動車のEV戦略

 電気自動車の航続距離や出力などの性能を決めるうえで大きな比重を占めるのがバッテリーだが、このバッテリーをはじめとして多くの高価な部品で構成される電気自動車は、補助金を使ってもどうしても支払価格が高くなってしまう。

 しかし世界的な二酸化炭素削減の取り組みの中で、普通自動車はもちろん、軽乗用車もハイブリッド車や電気自動車への置き換えが求められている。しかし、価格重視の軽自動車をEV化するのは容易ではない。

 今回は、発売されたばかりのシリーズハイブリッド版のダイハツロッキーから、ダイハツのハイブリッドおよび電気自動車戦略を読み解く。

文/小林敦志、写真/DAIHATSU、NISSAN、ベストカー編集部

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■一部改良のスケールを超えた超目玉! ロッキー/ライズにシリーズ式HV

ダイハツロッキーはシリーズハイブリッドを採用。エンジンで発電した電力を使用してモーターを駆動。また、余剰電力でリチウムイオン電池に充電を行う
ダイハツロッキーはシリーズハイブリッドを採用。エンジンで発電した電力を使用してモーターを駆動。また、余剰電力でリチウムイオン電池に充電を行う

 11月1日にダイハツのコンパクトクロスオーバーSUV(登録車)となる、ロッキーとトヨタ向けOEM(相手先ブランド製造モデル)となるライズが一部改良を発表した。

 一般的な一部改良といえば、装備を増やすとか、新グレード追加など小規模なものが一般的だが、今回のロッキー及びライズは取り扱いディーラーのセールスマンも驚くほど規模の大きいものとなっている。

 そのなかの“超目玉”となるのが、ダイハツ製新開発1.2Lエンジンを発電用として搭載し、100%モーターで走行する“eSMART”と命名されたシリーズハイブリッドシステム搭載モデルが追加されたことになる(FFモデルでも1Lターボからダイハツ製新開発1.2LのNAエンジンへ換装となった)。

 筆者は「ロッキー&ライズからきたか(シリーズハイブリッドの追加)」と、この情報に初めて触れた時最初にそう感じた。

 なぜそのような反応になったかというと、ダイハツが2022年に軽自動車へストロングHEV(ハイブリッド車)をラインナップする予定となっているとの情報を聞いていたからである。

 全軽自協(全国軽自動車協会連合会)統計によると、2021事業年度締め上半期(2021年4月~9月)のブランド別軽四輪車総販売台数をみると、スズキの22万4923台に対し、ダイハツは24万8583台となり、2万3660台差をつけブランド別ではダイハツがトップとなっている。

新型ダイハツ ロッキー
新型ダイハツ ロッキー

 しかし、これを軽四輪乗用車のみのランキングでみると、わずか3437台差ながら、スズキがトップとなっている。ちなみに直近となる2021年10月単月をみると、軽四輪車総販売台数でもスズキが4767台差をつけトップとなっている。

 ダイハツはサプライチェーンの混乱が与える生産遅延への影響がより深刻となっているともされており、これを考慮しなければならないが、軽四輪乗用車の販売台数では、ここのところスズキに抜かれることが目立ってきている。

 サプライチェーンの混乱がいまほど深刻ではなかったころでも、総販売台数でダイハツがトップでも、軽四輪乗用車の販売台数ではスズキにトップを明け渡すというパターンが目立っていた。ダイハツがブランド別軽自動車総販売台数でトップとなる時は、商用車の健闘が大きく影響しているのだが、なぜ軽四輪乗用車販売でダイハツは苦戦しているのだろうか?

 販売稼ぎ頭のタントが新型になってから販売に精彩を欠く様子が目立っていることも大きいが、なんといってもスズキの軽乗用車はワゴンR(スマイル含む)、スペーシア、ハスラーといった人気軽自動車には、マイルドハイブリッドユニット搭載車があることも大きく影響しているようだ。

 寸法や排気量などの規格が厳格に定められている軽自動車では、まさに“見た目が勝負”が一般的であった。買う側も多くは“基本部分はみんな一緒”という見方をするひとが多いようだ。

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