ダイハツがシリーズ方式HV版ロッキーを発売!! 見えてきた軽自動車のEV戦略

■『ハイブリッド』は軽自動車にとってアピールポイントになる

例えば中古車店などでは車種で選ばずに「好きな色と形を選んだらワゴンRだった」という買われ方が多い。色や形のほか、ハイブリッドも選ばれる要素として重要な位置を占めている
例えば中古車店などでは車種で選ばずに「好きな色と形を選んだらワゴンRだった」という買われ方が多い。色や形のほか、ハイブリッドも選ばれる要素として重要な位置を占めている

 筆者は以前、届け出済み未使用中古軽自動車を多く展示する中古車店で一組の夫婦が軽自動車を買う様子を見ることができた。奥さんのクルマを買いに来たようで、奥さんがいろいろ展示車を見ているのだが、「この色いいわね」、「こっちは可愛いわね」など、会話に車名はおろか、メーカー名すら出てこない。

 そのなか、旦那さんは懐から銀行の封筒に入った150万円ほどの現金を出して、奥さんのお気に入りの軽自動車の購入を決めていった。

 つまり、好きな色と形をしていたので購入した軽自動車がたまたまスズキワゴンRだったといった買い方が軽自動車では多い。とくに各メーカーの軽自動車を一同に展示する未使用中古車専売店などでは、その傾向は顕著のように見える。

 しかし、そのなかスズキはマイルドハイブリッドユニットを積極搭載してきた。

 マイルドハイブリッド化された新開発ユニットはその素性も高い評価を受けており、とくにすべてのメーカーの軽自動車を並べている未使用中古車店では、「スズキの、この軽自動車はハイブリッドですよ」などと店員が説明すると、「それじゃこれ」とばかりに購入するお客さんも多いとの話も聞いている。

 “ハイブリッド”というおまじないも、軽四輪乗用車販売でたびたびスズキがダイハツを抑えてトップになることを後押ししているようだ。

 そのような、まさに“苦杯”を嘗めていたダイハツがいよいよ、マイルドハイブリッドではなく、ストロングHEVを軽自動車に搭載してくることになりそうだ。

 一方で、日産・三菱連合は2022年春ともされているが、軽自動車規格のBEV(バッテリー電気自動車)をいよいよ市場投入してくるとされている。

 あえてというわけでもないだろうが、2022年にダイハツは日産・三菱の軽BEVにストロング軽HEVをぶつけてくることになり、軽自動車の“電動化バトル”が熾烈を極めそうである。

 日産の販売現場で話を聞くと、「軽自動車規格のBEVは厳しいものとなりそうだ」と、やや悲観的な話を聞くことができた。

日産が2019年東京モーターショーで発表した軽自動車EVコンセプト『ニッサン IMk』
日産が2019年東京モーターショーで発表した軽自動車EVコンセプト『ニッサン IMk』

 「メーカーとか、われわれ販売現場ではなんともできない話ですが、街なかの充電インフラがまだまだ足りません。生活圏内だけとなりますが、毎日使うことが多いのが軽自動車です。集合住宅の多い日本、とくに都市部では“帰宅したら充電”というライフスタイルはかなり“非現実的”です。

 だからといって、ショッピングモールなどで急速充電を頻繁に使っての充電は車両への負担を考えると、なかなかお勧めできません。

 ガソリン車に比べれば不自由に感じるお客様の多いBEVを例え軽自動車規格で手軽とはいえ、積極的に我われから売ることはできません。もちろん“欲しい”とされるお客様はその限りではありません」とセールスマンは胸の内を語ってくれた。

 しかも、HEVでは販売経験も豊富でそのメカニズムにも定評のあるトヨタグループのダイハツが、軽自動車にストロングHEVを投入してきたというインパクトの前には、日産・三菱の軽規格BEVは歯が立たないのではないか、という話もあるようだ。

 いまの流れを見れば、ロッキー&ライズに搭載した、eSMARTの軽自動車版、つまりシリーズハイブリッドユニットが搭載されれば、日産・三菱の軽規格BEVより“敷居”が低くなるだけでなく、インパクトもかなり大きくなるだろう。

 価格設定について報道では、日産・三菱の軽規格BEVの価格設定は補助金コミの実質購入価格が“200万円から”になるのではないかとされているが、ダイハツの軽HEVはメーカー希望小売価格で200万円を切るのではないかと聞いている。

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