■一時停止率6年連続全国1位は長野県、85.2%と2位以下に圧倒的大差をつける
では2021年調査での都道府県別のベストとワーストを見てみよう。47都道府県の中で最も一時停止率が高かったのは、調査開始以来6年連続で長野県、85.2%。この数字は過去最高で、全国平均を55ポイント近く上回り、2位の静岡県(63.8%)に対し20ポイント以上の大差をつけた圧倒的1位だった。
以下、3位は山梨県の51.9%、4位は宮城県51.4%、5位は石川県の50.7%。
反対に一時停止率ワースト1位は岡山県の10.3%、2位は東京都12.1%、3位は青森県14.0%、以下京都府16.8%、和歌山県18.4%と続く。
ちなみに都道府県別の数字は3年前から公表となったが、過去最悪の数字は、2018年調査での栃木県、0.9%だった。ほとんどすべてのクルマが横断歩行者等妨害等の違反をしていたといっても過言ではない。今年、栃木県は30.1%と全国平均を上回っている。
また2018年にはワースト3、2019年にはワースト1位だった三重県が、今年ベスト7位に躍進しているのも目を引く。宮城県も2020年にはワースト1位だったのが1年でなんと45%以上改善してベスト4位にランクインした。
■ぶっちぎり1位の長野県警にその理由を聞いてみた
なぜここまで長野県では横断歩道でのルールがしっかり守られているのか、長野県警の交通企画課の担当者にお話を伺ったが、「交通取り締まりや交通安全協会のボランティアによる街頭での活動が行われているのは他の都道府県と変わらず、特段これという要因はない」そうだ。
だが、長野では子供の集団登下校の際、横断歩道で道を渡り終えたら、クルマを止めて待っていてくれたドライバーに子供がお辞儀をする習慣があるという。「いつから始まったか調べてみてもはっきりとはわからないが、この習慣は30年以上続いているのではないか」とのこと。
つまり、長野県では、横断歩道上で歩行者とドライバーがコミュニケーションをとるという習慣が、長い時を経てしっかり根付いており、それが一時停止率の高さにつながっているようだ。
警察に取材をする時にはいつもやや緊張するものだが、「自分の娘は今26歳になったが、小学校の頃からずっとお辞儀をしていた」と教えていただいて、同じ娘を持つ父親としてややほっこりした。
「子供の頃から、横断歩道で止まってくれたクルマにはお辞儀をすることが習慣となっていると、大人になって自分でハンドルを握るようになったら、自然と横断歩道では一時停止するようになるんです」との話は説得力が高かった。
また、横断歩道でのルールやマナー向上のための動画を県警交通企画課がYouTubeにアップしたり、県と県警合同でキャッチフレーズ募集のキャンペーンを行うなど「全国に誇れる長野の交通マナー」を県民にアピールして、交通事故を減らすための努力が行われているとも伺った。
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