■前後の駆動配分で操縦性が大きく変わる
まとめると、オンデマンドタイプの4WDは、駆動トルクが前輪、後輪のどちらがメインになっているかでFR的な操縦性なのか、FF的な操縦性なのかが決まってきます。
センターデフ式は前後駆動力配分と前後の軸重のバランスによって操縦性のアンダーステアの度合いが決まります。またリヤデフに差動制限装置(LSD)などを用いない限りはFRのようなテールアウトの姿勢にはなりません。
……というのが4WDの操縦性の基本なのですが、最近興味深いクルマが登場しました。それはGRヤリスです。
このクルマの4WDシステムは横置きエンジン(FF)をベースに、リヤデフ直前に電子制御カップリングが配置しているのでFFベースのオンデマンド4WDタイプといっていいと思いますが、前後駆動トルク配分はノーマルモードが60対40、スポーツモードは30対70、トラックモードは50対50となっています。
じつはこれ、前後の最終減速比を意図的に変えて、クラッチを強く締結すればするほど後輪がたくさん回るようになっています。これによってFRのようにリヤタイヤが滑るドリフト姿勢ができるのです。
そういえばスバルが4WDを開発するとき、前後の最終減速比が違ったらクルマがうさぎ跳びのような動きを見せてまともに走ることができず、慌ててギヤ比を合わせたという話を聞きました。
まあ、これは前後輪の回転差がないパートタイム4WDだからなのですが、今や4WDカップリングの制御が進み、前後のギヤ比の違いを軽々と許容するまでになっていたのでした。今後は機械式4WDだけでなくモ-ター4WDが増え、さらにバラエティに富んだ操縦性のクルマが現れるのでしょう。
【画像ギャラリー】『悪路を走る4WD』から『速く走る4WD』へ!! 4WDの仕組みと特徴を分析(12枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方