いいクルマでもなぜ消えた!? 5ナンバーセダンの伝説へ……ホンダグレイスへの鎮魂歌


 いいクルマだったのになぜか消えてくクルマも多い。メーカーはいいクルマを
作ろうと努力をしたし、消費者も一定の評価をしていたのになぜか消えるクルマ
たちはなにが悪かったのだろう。

 今回は近年非常に貴重な5ナンバーサイズセダンだったホンダグレイスを振り返りたい。燃費もいいハイブリッドだし、ホンダらしい7速DCTを採用したi-DCDなどいわゆる「眠たい」セダンではなかった。

 しかし法人需要はおろか、中高年層にもあまりウケずに終焉を迎えた。単なるセダン不況なのか、それともグレイスに大きな欠点があったのか。じっくり、ねっとりと振り返ります。

文:渡辺陽一郎

【画像ギャラリー】名車なのに無念だ……伝説化必須のグレイスの全貌を見よ(15枚)画像ギャラリー

■コンパクトで優秀なセダンなのに販売終了へ…

 使ってみると良いクルマなのに、好調に売られず販売を終了する車種は少なくない。その代表がホンダグレイスだ。

 グレイスは2014年に発売され、2020年に終了した5ナンバーサイズのセダンだ。最終型のボディサイズは、全長が4450mm、全幅は1695mm、全高は1475mm(2WD)であった。

 プラットフォームは先代フィットと共通で空間効率が優れ、燃料タンクは前席の下に搭載する。そのためにトランクスペースが広く、容量は430Lに達した。現行クラウンで最も容量の大きな2.5Lハイブリッドと2Lターボが431Lだから、グレイスはボディサイズの割に積載性が優れていた。

2014 新型ハイブリットセダン「グレイス」発売

 空間効率が高く、なおかつホイールベース(前輪と後輪の間隔)が先代フィットよりも70mm長い2600mmだったから、前後席ともに居住空間にも余裕があった。特に注目されたのが後席だ。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半に達した。これもクラウンと同程度の余裕だ。着座位置が高めで頭上は少し窮屈だったが、足元に余裕があるので、大人4名が乗車して長距離を快適に移動できた。

 後席とトランクスペースにクラウン並みの余裕を持たせながら、全長は4500mmを下まわる5ナンバー車なので、混雑した街中や駐車場でも運転しやすい。最小回転半径も5.1~5.3mに収まり、小回りの利きも良好だ。

 このようにグレイスは、コンパクトなボディで運転しやすく、なおかつ居住性と積載性の高い優秀なセダンであった。

■販売直後から販売目的達成ならず

 パワーユニットは、直列4気筒1.5Lエンジンを搭載するスポーツハイブリッドi-DCDがメインだ。トランスミッションは、7速DCT(2組のクラッチを使う有段式7速AT)を組み合わせた。2WDのJC08モード燃費は32.4~34.8km/Lで、当時のセダンとしては優れていた。一方、1.5Lのノーマルエンジンは、装備をシンプルに抑えて価格の安さに重点を置いている。

 運転感覚としては、ハイブリッドの7速DCTは少し変速の滑らかさに欠けたが、走行安定性と乗り心地のバランスは優れていた。特に乗り心地は、共通のプラットフォームを使うフィットに比べると、路面のデコボコを伝えにくく重厚感も伴う。ノイズも小さく、ボディはコンパクトでもセダンとして優れた快適性を備えていた。

 安全装備ではマイナーチェンジで衝突被害軽減ブレーキのホンダセンシングが採用され、最終型の価格は、ハイブリッドLXホンダセンシングが227万8100円、ノーマルエンジンのLX(ホンダセンシングはオプション)は180万1800円であった。セダンの中では価格も割安だ。

2015年 ハイブリット車を一部改良

 それでも売れ行きは、2014年12月の発売当初から伸び悩んだ。グレイスが発売時点で公表した1か月の販売目標は3000台だったが、発売の翌年となる2015年の1か月平均登録台数は約2000台に留まる。発売直後から、販売目標を達成できなかった。

 この後、2016年には1か月の平均登録台数が約1000台に下がり、2017年には800台前後と低迷した。2019年はコロナ禍の影響を受ける前だが、約500台になり、2020年に廃止されている。

次ページは : ■販売台数が伸び悩んだ理由とは?

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