■すべてではないが、Androidアプリが動かせるのは大きな魅力だ
Androidをベースに開発したOSゆえに、スマホやタブレットではおなじみの「Google Playストア」からアプリを本体にインストールして使える点は大きなメリットと言える。
冒頭に述べたように「Google Playストア」で展開しているアプリの数は膨大だ。これが車内でスマホ無しで使えるというだけでもワクワクしてくるが、実際そんなには甘くはない。
例えば、音楽系のサブスクリプションサービスで見ると「Spotify」や「YouTube Music」、またラジオ(音声系)アプリには対応しているが「YouTube(動画)」の再生には非対応だ。
何かしらルールや通信料の問題もあるだろうが、こればかりはGoogle側とアプリベンダーとの取り決めなどで変わってくるので現状では何とも言えない。それでも好みのアプリをインストールすることで自分専用のシステムが構築できるのはスマホ同様、圧倒的に利便性を向上させる。
■ナビだけでない音声認識の可能性
搭載されているナビは基本Googleマップをベースとしている。普段見慣れているGoogleマップだが、大画面でコントラストも含めた各種チューニングが行われているようでスマホやタブレットより圧倒的に視やすい。
また今回は英語で発話にはなったが走行中、それもマスクをした状態でも音声コマンドの認識率は高かった(個人差は当然ある)。
探索したルートの品質で考えるとまだ?の部分もあるが、これに関してもGoogleが持つビッグデータを活用することでどんどん賢くなっていくはずだ。でも、現状はもうひと頑張りしてほしい。
この他にもGoogleアシスタントを使うことで車内の空調コントロールや、最近話題のスマートホームに対応した機器(筆者も使っているSwitch Botなどがメジャー)のコントロールも可能だ。帰宅前にエアコンや電気などの操作も車内から音声コマンドひとつで行えるのだから便利な世の中になったものである。
■目指すは世界制覇なのか?ガラパゴス化が心配?
今回、このシステムの登場は日本だけではなく、世界におけるインフォテインメントシステムの流れを大きく変えるだけのポテンシャルを持っていると感じた。
もちろん国によってはGoogleをブロックしている場合もあるのでその場合は独自のシステムで対応することになるが、少なくとも日本では携帯電話同様、Googleの実力は今更説明の必要は無いほど強大だ。
では独自のテレマティクス&インフォテインメントシステムを持つメーカーは今後どのように対応していくのだろうか。
例えばホンダはGoogleとの協業で2022年後半に北米で発売する新型車に搭載を開始し順次グローバルに展開する、と発表している。
ホンダには「HONDA CONNECT」と呼ばれるテレマティクスサービスを展開しているが、いきなりこれを辞めるとは考えにくい。またAmazonの音声認識サービスである「Alexa」に関しても日産や国内のカーオーディオメーカーがすでに対応を始めており、これらも含めると未来予測は非常に難しい。
ただ携帯電話の世界がスマホの登場により純国産端末が「ガラパゴス」と揶揄されたことも考えると独自路線を強行して突き進むのは得策ではないだろう。
その辺はどのメーカーもわかっていることでとっくに手は打ち始めているだろうが、自社のシステムとGAFAなどとバランスを取りながら運用していくのはコスト面でも厳しい部分がある。
その点でも今回のボルボの決断は評価には時間がかかるとはいえ、テレマティクス&インフォテインメントシステムのコアとなるソフトウエアをGoogleに委ねた(協業だが)ことで全体のコスト低減と同時によりスピーディに新しいサービスをユーザー側が享受することができるはずだ。
2022年以降、車載インフォテインメントシステムの世界は新たなステージ、いや、そんなものではない。大きな嵐が吹き荒れそうな予感がしてならないのである。
【画像ギャラリー】ボルボでググれ! Googleと共同開発したインフォテインメントシステムをXC60が世界初搭載!!(12枚)画像ギャラリー
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