■ドイツ=シルバーメタリックはもう古い?
1980年代に青春を謳歌した世代では、“ドイツ車=シルバーメタリック”という、“鉄の掟”のようなものを覚えている人もいるはず。
当時日本車でもシルバーメタリックは当たり前のようにラインナップされていたが、当時の日本車はまだまだ塗装が弱く、乗り方次第では数年たつと塗装が剥げやすいといったことも珍しくなかった。
それに対し、ドイツ車は“鉄が厚い”ともいわれたボディに、しっかり塗装されたシルバーメタリックは、まさに別物のように映った。
しかし、令和のいま“ドイツ車=シルバーメタリック”は完全に崩壊しているとのこと。
あるメルセデスベンツ系新車販売ディーラー併設の認定中古車展示場では、「いまは白または黒系が圧倒的に人気は高く、リセールバリューも良いですね。シルバーメタリックの人気が高かったのは過去の話です」と聞いて筆者はがっかりした。
「実はシルバーメタリックですが、日本車でも、選ぶ人はまだ多いようですが、以前とは異なり車種によってはリセールバリューダウンになることも最近ではあるようです」とは事情通。白系もしくは黒系の人気が圧倒的に高いミニバンなどでは、その傾向が高いようである。
BMW系新車ディーラーでは、「ホワイトは女性ユーザーに人気が高いですね」という話も聞いたことがある。確かに街なかで見かけるドイツ車は白や黒が多い。しかし、単純に人気が高いだけではないようだ。
例えばBMW3シリーズでは、グレードによって選べなかったりもするが、全体で12色のボディカラーが用意され、そのうち11色がメタリックペイントとなっている。そしてオプションリストをみると、全グレードにわたりメタリックペイントがオプションとなっている(10万円高)。
つまり標準ボディカラーはソリッドホワイトとなるアルビンホワイトしかないのである。ほかにメルセデスベンツCクラスステーションワゴンでも、ソリッドホワイト以外のメタリックペイントは有償オプションとなっている。
アウディA4でもS4を除けば標準ボディ色(有償とならない)はアイビスホワイトのみとなっている。
ちなみにVW(フォルクスワーゲン)では、ゴルフをサンプルとして見たが、オプションカラーは全8色(グレードにより選べないケースもあり)中、3色のみが有償色となっており、輸入車すべてが標準色はホワイトのみというわけでもない。ただ、白のみかどうかは別として、輸入車は在庫販売が前提となってくる。
生産地から船積みした段階から在庫となり、日本で購入希望者がいれば、船で海上輸送中から“売約済み”になるとされている。
船積みされるクルマの内容は日本からはリクエストは出せるが、基本的にはヘッドクォーターに“お任せ”となっており、お気に入りのオプションカラーが在庫にあったとしても、組み合わされるオプションが過剰であったりするとあきらめざるをえないこともあるようだ。
そうなってくると、比較的在庫に余裕のある、ボディカラーとオプションを装備した仕様に購入車種が落ち着くといったこともあるようだ。そうなれば、標準ボディ色の在庫比率が高まるのは自然の流れといえるだろう。
前出のメルセデスベンツ系の中古車展示場では、「新車で買う時の人気車と、中古車での人気車は異なります。例えばSクラスは新車として人気はありますが、中古車で乗りたいという人が少ないので、値落ちの早さはメルセデスベンツ車のなかでもトップクラスです。
さらに個性的なボディカラーですとなお値落ちが早くなります。セダン系全体についても新車では人気は高いですが、中古車では人気は低迷します。中古車人気を考えれば断然ステーションワゴンがおすすめです」と話してくれた。
シルバー系は有償色となるので、人気色と呼べるほど市中に流通していないとも話してくれた。
輸入車としては、筆者が大学生時代に初代VWゴルフ(ゴルフI)の後期モデル(ビッグテールと呼ばれたモデル)のなかでも、“モナコブルー”というボディカラーの中古車が気に入っていたのだが、モナコブルー以外のボディカラーとなる同年式車に比べてかなり中古車価格が高く手が出なかったことを覚えている。
このケースは新車ではあまり選ばれなかったものの、中古車では人気が高まったものの、台数が少ないことが影響したようだ。
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