昨シーズン、関越道と北陸道で相次いで発生した、豪雪によるクルマの大規模な立ち往生。チェーン未装着車両がスタックしてしまったことや、この周辺の交通が停滞していたことによる交通集中、また情報発信が遅れたなど、さまざまな要因で引き起こされたものでしたが、最大で52時間にも及んだ立ち往生は、大雪の怖さを実感した出来事でした。
大雪が予想されるときは「クルマを使わない」というのが、大原則。雪に慣れていない地域に住む人はもちろんのこと、雪に慣れている地域の人であっても、大雪が降る予報が出ているときは、なるべくクルマでの移動、特に立ち往生で身動きが取れなくなる高速道路を使った移動は避けるべきです。
しかし、どうしても行かなければならない、もしくは予報よりもたくさん雪が降ったことで身動きがとれなくなってしまう、ということも考えられます。突然の大雪で身動きがとれなくなってしまったとき、命を守るためにやるべきこと、そしてやってはいけないことをご紹介します。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_Rico Löb
写真:Adobe Stock
エンジンをかけ続けるのは危険
雪で立ち往生、と聞くと、トイレや食料が気になるところですが、もっとも恐ろしいのは「一酸化炭素中毒」。クルマが雪に埋まった状態でエンジンをかけていると、排気ガスが行き場を失い、車内に充満してしまいます。排ガスには一酸化炭素が含まれており、無臭で気づきにくい一酸化炭素によって、最悪の場合、知らぬ間に意識を失ってしまうことに。
JAFの実験では、クルマがボンネットの上まで雪で埋まった状態でエンジンをかけても、マフラー周辺を除雪しておいた場合、車内の一酸化炭素濃度は、ほとんど上がらなかったそうですが、同条件でマフラー周辺を除雪せず、運転席の窓を5cmほど開けただけの場合、風がないと一酸化炭素濃度が「2時間で失神する危険レベル」まで上昇したようです。
寒さに耐えきれずにエンジンをかけた場合でも、必ずマフラー付近の除雪をこまめにするようにしてください。
もちろん、ガソリン車だけでなく、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車も同様です。バッテリーEVは自車が一酸化炭素を発生させることはないですが、周囲にいる他車の排ガスが流れてきて、「もらい中毒」をしないように気を付ける必要があります。
また、エンジンをかけていなくても、呼吸で酸素濃度が低下していますので、適度な換気も必要。寒くても1時間に1回程度は窓を開け、換気をするようにしてください。
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