■保険制度の新設やインフラ整備など課題は山積
このように、事故ゼロ社会へと確実に近づけるレベル4だが、実現には高度な自動運転技術に加えて、自車周辺を広範囲にわたって監視できる技術が必要だ。
市販車では、前後左右4つのカメラで自車周囲の確認ができる360度カメラの普及が進むが、レベル4での範囲はもっと広くて、通信技術を活用した自車周囲200m以上にわたって道路状況の把握が求められる。
それだけでなく、得られた情報を元にして状況を先読みし、次なる走行経路を走行しながら自ら作り上げトレースしていく。当然、自車周囲(半径25m程度)を走る他車の突発的な動きに合わせた微調整も必要に。ここではAIによるニューラルネットワーク(脳の情報伝達を模した解析手法)が本領を発揮する。
さらに、レベル4の車両がたくさん走るとなると、車両ごとの通信や、地域を走る全車両の状況把握も不可欠になる。つまりレベル4では、飛行機の管制システムのようなインフラが求められるのだ。
冒頭、ホンダのレベル4が2030年とか2050年などと結論づけた理由はここにもある。レベル4走行ができる車両が技術の上で完成しても、あまりにも高価な車両価格ともなれば早期の普及は見込めない。
さらに道路交通法や道路運送車両法の改正、レベル4に対する保険制度の新設も課題になる。加えて、走らせる道路環境や通信技術などのインフラ整備も同時に行なわないと机上で求めた安全は得られない。
レベル3までは自車完結型の技術で達成できた。法整備の面でも、自車完結型が可能であること条件に改正が進められ、担保されたことから2021年にレベル3のレジェンドが発売された。
それがレベル4になると通信技術が必要でインフラ整備も求める。一般道路になれば存在しない高精度HDマップも生成も不可欠だ。課題山積。
もっとも、自動化レベル1→2→3という着実な進化を振り返れば、この先のインフラ整備に伴って自家用車(乗用車)、移動サービス(MaaS)ともにレベル4の実現は間違いなく可能だ。
さらにホンダは、これまでがそうであったように、レベル4技術も事故ゼロ社会の実現に活かしていくはず。まずは2022年の動きに期待したい。
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