レクサスがEVブランドに生まれ変わること
バッテリーEV戦略に関する発表会でレクサスのEVラインナップに対しては2つのことが明言された。
1つは、2030年までにすべてのカテゴリーでBEVラインナップを実現し、グローバルで100万台の販売を行うこと。もうひとつは2035年までにグローバルでBEV100%のブランドになるというものだ。
トヨタよりも先に、レクサスにEVブランドとして確固たる地位を確立して欲しいという意思が見て取れる。静粛性の高さや低振動、フラットでシームレスな乗り心地や操作感を求められるプレミアムブランドと、BEVは相性が良い。プレミアムブランドのレクサスを通してBEV市場で先行したいという戦略も見える。
UX300eを先行して販売したことにより、販売店側の受け入れ態勢も整い、レクサス販売店には急速充電設備等のBEVのためのハードウェアをしっかりと準備できた。レクサスはトヨタよりもBEVへの変革が、製造・販売の両面で大きく進んでいると思う。
世界的にも信頼性の高いクルマを生み出し、販売を続けるレクサスが、信頼に足るBEVを製造・販売することで、トヨタ・レクサスのBEVに対する信頼性の高さはしっかりと裏打ちされるのではないだろうか。
レクサス現ユーザーは受け入れるか?
UX300eの登場時、一時商談中止を呼びかけなればならないほど、その注目度は高く、市場からの需要も高かったレクサスBEV。新たにRZが投入されれば、さらに大きな注目を浴び、BEVへの需要が高まることは予想できる。
問題は使う側が不便をしない環境づくりだ。「レクサス」であれば、オーナーが販売店以外の場所にいるときにも、クルマからしっかりとした「おもてなし」を感じられなければならない。
現在のレクサスユーザーの多くは、レクサスのきめ細やかなサービス、そして心地よさを体感できる販売店やクルマを気に入って購入している。いつ何時でもレクサスを感じられ、不便せず、最上級の体験を出来ることが、レクサスを選ぶ一番の理由だ。
新規のBEVだからといって、こうしたレクサスの大前提をひっくり返すことは許されない。これまでのクルマと同様に、不自由なく心地よく使えれば、現ユーザーにもBEVはスムーズに受け入れられると思う。
ここにはレクサスだけの問題でなく、BEVを取り巻く国策(インフラ整備の進捗)なども、重要なファクターとなっていくだろう。
また、テスラやルーシッドといった、BEVで先行するメーカーにいち早く乗っているユーザーを、レクサスへ呼び込めるかがカギになる。しかし、この点は過去に日本のラグジュアリーブランド市場へ新規参入し、ジャーマン3からユーザーをしっかりと呼び込んだ経験のあるレクサスなら大丈夫だ。
米国でレクサスが高い人気を博したときのように、レクサスにしかできない、しっかりとしたアフターサービスをBEVでも変わらずに行っていくことができれば、ユーザーは自ずとレクサスを選んでいくだろう。
メーカーや販売店が「初めてのBEVだから…」と言い訳をこぼさなければ、今のレクサスには、日本のBEVを作り上げ、発展させる力は充分にあると考える。
EVブランドという新たな形に挑戦するレクサス。顧客満足度が高いレクサスだからこそ先陣を切ってEV市場へ参入し、トヨタ・レクサスが進む方向性を決めることができるはずだ。RZはレクサス・トヨタのみならず、日本におけるBEVの在り方を考える足掛かりとなる。RZが開くBEVのドアの向こうには、どのような世界が待っているのだろうか。
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