シビックなど車両本体価格300万円台で買える新車の正義とは?


 日本の新車販売にとって2021年はコロナ禍と半導体不足に悩まされ続けた1年だった。明けて2022年は明るい兆しを見せるかと思ったが、オミクロン株の大流行により車の生産自体が滞る事態が発生し、まだまだ前途多難だ。

 ところで今どきの売れるクルマの価格帯は200万~300万円が普通となってしまった。今から20年前を考えてみると、300万円台は高級車かスポーツカーという感覚だったはず。随分値上げしたものだと感じるのは、実は所得がクルマの価格ほど上がっていないことが要因なのかもしれない。

 今となってはベーシックカー? の価格帯である300万円くらいでのクルマ選びについて考えていきたい。

文/永田恵一、写真/TOYOTA、NISSAN、MAZDA、HONDA

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■昔と今の価格差をシビックで比較してみると、驚愕の事実が判明!!

 平成元年(1989年)に4代目シビックがマイナーチェンジした際に加わった、1.6LVTECエンジンを搭載したスポーツモデルとなるSiRの価格は150万円台と、エントリーカーとしても買えるものだった。

 それが2021年のフルモデルチェンジで11代目モデルとなった現行シビックは、ボディサイズの拡大やボディタイプが5ドアセダンとなったなどの事情もあるにせよ、1.5Lターボで319万円からと4代目シビックの倍以上である。

バブル期真っ最中の1989年に追加されたシビック3ドアSiR。今では普通の安全デバイスがほぼ皆無だったとはいえ、150万円台で購入できたのは驚異的である
2021年8月発売の現行シビック(11代目)。30年前にはアコードクラスのボディに180psの1.5Lターボ、数々の安全デバイスを標準装備の結果、ベーシックグレードでも319万円。もはや高級車??

 2000年代まで価格が300万円付近のクルマは「普通の人が買う上限」、かつボリュームゾーンというイメージだったが、今や「300万円で買えないの?」と感じるクルマも多い。

 そんな背景もあり、ここでは300万円付近のクルマのかつてと現代のポジションの違いを考え、今も残る300万円以下の価値あるクルマたちをピックアップしてみた。

■300万円付近のクルマのかつてと現代のポジションの違い

 マークII3兄弟が全盛期だった1992年登場の90系が掲げた開発コンセプトのひとつは、「クルマに夢とロマンを」というものだったという。

 わかりにくい言葉だが、これは「普通の人が買える最高のクルマを提供する(≒300万円以下)」という意味が込められており、このことは日本人がクルマを買う際に深い意味があったことだと思う。

 というのも2000年代まで車両価格300万円というと、トヨタではマークII3兄弟をはじめエスティマ、ハリアー、スカイライン、オデッセイ、パジェロ、レガシィ、輸入車ではVWゴルフなど、選ぶのに迷う魅力的なモデルがズラリと揃っていた。

トヨタ最終型マークII。2.5Lストレート6エンジンを搭載した走りのモデルが300万円台で購入可能だった。今回紹介するモデルがほぼ「素」状態と考えると感覚的なギャップは大きいと感じてしまう

 それが今や300万円では冒頭に書いた現行シビックは買えないなど、クルマの値上がりが進んでいる。

 最近のクルマの値上がりの理由として、平成初期まではエアコンがオプションのクルマも少なくなったのが、そんなクルマは絶滅するなど装備内容が充実したこと。

 さらに、厳しくなる一方の排ガス規制をはじめとした環境性能の向上、ハイブリッドカーやターボ車の増加、自動ブレーキ&運転支援システムやサイド&カーテンエアバッグといった安全装備の標準装備化など、コストアップする要素ばかりというのは非常に大きい。

 また、商品の価格は2003年までクルマを含めて消費税は別で表示される外税だったが、2004年からは価格に含まれる内税となった点も小さくない。

 それ以上に日本人の平均年収は1989年が452万1000円だったのに対し、1996年の472万1000円をピークに2020年は433万1000円と、世界各国は物価上昇に対応するように収入も順調に上がっているのに、日本は収入が物価上昇に追いつかないどころか下がっているため、クルマの価格も高く感じるようになったのだ。

 それだけに300万円以下の魅力あるクルマの存在意義は以前よりも大幅に大きくなっている。

次ページは : ■果たして300万円以下カーに魅力はあるのか⁉

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