【ハイエース、GT-R、ランクル…】日本の「ほったらかし車」10選


 世間に出回っているどんな商品でも、メーカーとして漫然と市場に放置していれば、いずれは魅力を失い、古くなって市場から見向きもされなくなり、静かにマーケットから消え去ることになる。

 自動車にとっても、フルモデルチェンジ(FMC)やマイナーチェンジ(MC)による工業製品としての商品性アップは、ビジネスプランの根幹といえる。だが、例外的なクルマが存在する。

 通常は4年または6年周期で次期型にフルモデルチェンジされるのだが、6年周期を超えて8、9年、10年もほったらかしにされているクルマがあるのだ。いくらマイナーチェンジや一部改良をしているとはいっても、10年ひと昔といわれるだけに、限度がありそうな気もするが……。

 そこで、2000年以降、6年以上フルモデルチェンジされていないクルマを対象として、ただ、ほったらかしにされた年月の長さで順位付けするのではなく、その間に行われたマイナーチェンジや一部改良の内容、次期型への期待度や、世の中のイメージなどもろもろを混ぜ合わせ、筆者の独断と偏見で「ほったらかし車TOP10」を選定させていただきました。

 はたしてどんな、ほったらかし車があるのか、モータージャーナリストの岩尾信哉氏が解説する。

文/岩尾信哉
写真/ベストカーWEB編集部

(画像ギャラリー)【なぜ6年以上もフルモデルチェンジしないのか?】日本の「ほったらかし車」10選


6年周期を超える「ほったらかし車」

ほったらかしにされている長寿命の年月だけ見れば15年8日と1位となるハイエース (ワゴン)

 まずは「ほったらかし状態」であると決定する基準の話から始めたい。以前は発表発売から2年でマイナーチェンジ(MC)、4年でフルモデルチェンジ(FMC)というのが基本スケジュールだったが、インターバルが長くなって、最近ではトヨタなどではMC:3年、FMC:6年というケースが増えているようだ。

 そこで、ほったらかし車を選ぶうえで、フルモデルチェンジから6年前後が経過したモデル、すなわち2013年以前にフルモデルチェンジを実施したモデルを採り上げ、商用車は除外し、乗用車のみとした。

 6年前からの変化が、安全装備の追加や内外装の小変更や一部改良の実施にとどまっており、特別仕様車などの設定はあっても、結果的に変更に“特別感”が薄いものであれば、あくまで“独断”ではあるが「ほったらかし状態」とさせてもらった。

 マイナーチェンジの評価については、先に登場したスカイラインのように、デザインとパワートレーンの変更(セッティングの評価などについては微妙だが)を同時に実施した場合にはビッグマイナーチェンジとして、「ほったらかし状態」を弱めたとする。

 厳しいようだが、排ガス規制対応や安全装備の充実は商品性アップの基本中の基本なので、変化を評価するレベルは高くならない。

 個人的にはフロントグリルなどブランド(デザイン)イメージの統一による変化はあまり評価できず、マイナーチェンジによって外観の細部が変わって一時的に印象が改められたとしても、結果として顧客に受け入られたと感じられなければ高くは評価していない。

 たとえば、ランドクルーザープラドは2009年9月のフルモデルチェンジ後、2013年9月のマイナーチェンジではエグイ顔つきになった。

 すると2017年のマイナーチェンジでは穏やかなデザインに改めた例などもあるように、変更の意味を失ってしまうからだ。

 一方で、ほったらかし車の候補として選んだ理由については、各社の“お家の事情”が関わってくるわけだが、以下のようなケースが挙げられる。

・経営方針に基づいた車種整理(トヨタ)
・販売台数が少ないスポーツカーへの投資不足(日産)
・日本市場の軽視(日産)
・新世代プラットフォーム採用への移行(ダイハツ)

 そのほか、販売台数が伸び悩むセダンなどで「ほったらかし状態」に陥っている状況が見られる。

■主なほったらかし車のリスト
※このうち候補車6年以上フルモデルチェンジしていない乗用車(商用車を除く)を対象としました。日付は発売日。2019年9月1日時点
●トヨタ
15年8日:2004年8月24日:ハイエースワゴン
13年7ヵ月16日:2006年1月16日:エスティマ
12年3ヵ月3日:2007年6月4日:プレミオ/アリオン
11年11カ月17日:2007年9月18日:ランドクルーザー200
10年13日:2009年9月14日:ランドクルーザープラド
10年1ヵ月18日:2009年10月19日:マークX
8年9ヵ月21日:2010年12月22日:ヴィッツ
7年9ヵ月25日:2011年12月26日:アクア
7年5ヵ月5日:2012年4月6日:86
7年4ヵ月10日:2012年5月11日:カローラフィールダー/アクシオ
7年1ヵ月9日:2012年7月23日:ポルテ/スペイド
●レクサス
8年8ヵ月11日:2011年1月12日:CT200h
7年7ヵ月25日:2012月1月26日:GS
6年3ヵ月15日:2013年5月16日:IS
●日産
11年9ヵ月5日:2007年12月6日:GT-R
10年10ヵ月18日:2008年11月19日:キューブ
10年9ヵ月:2008年12月1日:フェアレディZ
10年4ヵ月18日:2009年5月19日:NV200バネット
9年10ヵ月18日:2009年11月19日:フーガ
9年3ヵ月8日:2010年6月9日:ジューク
9年2ヵ月12日:2010年7月13日:マーチ
9年1ヵ月3日:2010年8月4日:エルグランド
7年3ヵ月11日:2012年5月21日:シーマ
7年2ヵ月17日:2012年6月15日:キャラバンNV350
7年2日:2012年9月3日:ノート
6年9ヵ月4日:2012年12月5日:シルフィ
5年9ヵ月10日:2013年12月11日:エクストレイル
5年7ヵ月4日:2014年2月5日:ティアナ
●ホンダ
5年9ヵ月19日:2013年12月20日:ヴェゼル
●三菱
12年11ヵ月3日:2006年10月4日:パジェロ
12年7ヵ月30日:2007年1月31日:デリカD:5
10年3ヵ月4日:2009年6月5日:i-MiEV
9年6ヵ月16日:2010年2月17日:RVR
7年1ヵ月:2012年8月1日:ミラージュ
6年10ヵ月24日:2012年10月25日:アウトランダー
6年7ヵ月8日:2013年1月24日:アウトランダーPHEV
●ダイハツ
14年4ヵ月22日:2005年5月9日:アトレーワゴン
4年11ヵ月19日:2014年9月20日:ミライース
4年9ヵ月11日:2014年12月12日:ムーヴ

生産終了、フルモデルチェンジがすでに明らかになっているクルマの扱い

2019年12月末の生産終了が伝えられたキューブは 2019年9月1日時点でデビューから10年10ヵ月18日経っている

 新型へのモデルチェンジが近づいているモデルは、現状として販売されているので「ほったらかし状態」車種の対象とした。

 自動車メーカーは明確にはしたがらず、販売(生産)終了というとマーケットの印象は良くないだろうが、マーケットや対象車種のオーナーに対する“礼儀”としての意味はあると思う。

 年内で生産・販売終了が報じられているモデルやフルモデルチェンジが近づいている車種を「ほったらかし状態」の順位の評価に含めるかは微妙だった。

 生産終了が報じられているのは、トヨタのマークX(2019年12月)とエスティマ(2019年10月)、三菱のパジェロ(2019年8月)、日産キューブ(2019年12月末)。

 フルモデルチェンジが近いトヨタカローラフィールダー/アクシオ(2019年9月17日デビュー予定)、ホンダフィット(2019年11月デビュー予定)、日産ジューク(2019年9月3日発表、日本仕様は2020年4月以降デビュー予定)、スズキハスラー(2019年12月デビュー予定)などは選びにくくなった。

誕生から丸10年を超えた2016年6月に気合いの入ったマイナーチェンジを断行した。先進感のある美しいシルエットは色あせていなかったが、フロントマスクを中心にフェイスリフトを行い、顔を大きく変えている。 デビューから13年7ヵ月が経つが、すでにエスティマは2019年10月での生産終了が決定し、受注生産状態にあったが、2019年7月末でオーダーも終了

 ダイハツやスズキといった軽自動車メーカーでは、常に厳しい競争に晒され、新鮮さを保つために継続的なリニューアルの実行を求められることがモデルチェンジのインターバルの短さに表われている。

 そのほか、商用車ベースのトヨタのハイエースワゴンとダイハツのアトレーワゴンは長期のライフスパンを前提に作られるので、単純にほかのモデルと同様に評価するわけにはいかなかった。

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