■たぶん損はしないフェラーリその2:F430
458イタリアの前身にあたる、2005年から2010年まで販売されたV8ミッドシップフェラーリ。搭載エンジンは最高出力490psの4.3L、V8自然吸気で、F355のような超高回転型&美声型ではないが、トルクフルであり、エンジン自体の頑丈さもかなり増している。
7年ほど前までのF430は、富裕層からは「古い」と敬遠され、勤労者系フェラーリ愛好家からは「高くて買えない……」と敬遠されていた。要は人気薄……とまでは言わないが、今ひとつ市場での輝きには欠ける世代だったのだ。
しかしここへ来て、フェラーリ F430は「ポルシェ911の996型」のような魅力を放ち始めている。
ポルシェの996も「中途半端」「乗用車的」ということで今ひとつ敬遠されていた世代だったが、ここへ来て“ネオクラシック感”を放ち始め、「小ぶりなサイズがイイ!」「今の911みたいな超電子制御じゃないのもイイ!」というニュアンスで再評価され始め、その相場も微妙に上げ始めているのだ。
そしてフェラーリ F430もこれと似たようなこと、つまり「昔はイマイチと思ったけど、今にしてみるとけっこう悪くないのかも……?」というような形での再評価が行われつつあるのだ。
とはいえ、もちろん数年後の相場がどこまで上がるかは未知数であり、さほど上がらない可能性もある。だが少なくとも「大損はぶっこかないはずの一台」と考えられるのが、このF430である。
【F430の相場】
F430/1400万~2300万円
* * *
以上が、筆者が推測する「儲かるフェラーリ」と「たぶん少しは儲かる(少なくとも大損はしない)フェラーリ」であるわけだが、その逆のパターン、すなわち「損するフェラーリ」についても触れておこう。
■たぶん損するフェラーリその1:すべてのFRフェラーリ
ここ最近のFRフェラーリ、例えばカリフォルニアTやF12ベルリネッタあたりであれば「少々の損」で済むだろうし、現行世代であるポルトフィーノやローマならば「微損」で収まるはずだ。
だが、古い世代のFRフェラーリを、例えば575Mや550マラネロあたりを「おっ、800万円台か! フェラーリにしては安いじゃん!」などというニュアンスで勤労者系愛好家が買ってしまうと、その後のメンテナンス地獄と値下がり地獄により、結局はゴー・トゥ・ヘルになってしまう可能性は高い。
……もしも550マラネロを買う金があるならそれを頭金にして、もっと別の何かを買うことを考えたほうがはるかにいいだろう。
■たぶん損するフェラーリその2:360モデナ F1
F355の後継モデルとして1999年に導入され、2005年1月まで販売されたV8ミドシップフェラーリ。搭載エンジンは最高出力400psの3.6L、V8自然吸気だ。
これの6MTの上モノ(車両価格1500万円ぐらい)を買うのは決して悪くはないが、軒並み値上がりしているフェラーリおよび名作ネオクラシック各車のなかでも、360モデナだけはどうにも相場があまり上がらない。
もちろん「これが好きなんだ! 俺はリセールなんか気にしないぜ!」という方が買うのはご自由だが、もしも本稿の基本路線である“守銭奴”に徹するのであれば、360モデナはMTであってもパスするのが吉であろう。
そしてもちろん「格安価格の360モデナF1」は、地獄への入口である可能性が高いため、当然ながら避けねばならない。
安いモノなら700万円台でも探せるF1マチック(セミAT)の360モデナ。
だが、それを買ってしまうと「買った瞬間にF1マチックが逝く(修理代およそ60万円)」「購入後すぐにタイミングベルトが要交換となる(交換費用およそ30万円)」「その他モロモロ、ほぼすべてが壊れる(修理代は青天井)」という“地獄の逆大三元”が成立する可能性を、何人たりとも否定はできない。
これもまた「そんなのを買うカネがあるなら、それを頭金にして別のクルマを買ったほうがいい」としか言いようのない、きわめて残念な選択肢である。
【画像ギャラリー】基本的には『好きなのを買う』のが幸せ!! でもあえて損得を考えつつフェラーリを選ぶ!!(30枚)画像ギャラリー
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