新型ヴォクシー/ノアの細やかで安価な飛び道具たち ミニバンの魅力は装備と価格にある!!

2列目前後スライドが超簡単に!!  「ストレート超ロングスライドシート」

 ミドルクラスミニバンの魅力のひとつは、華麗なシートアレンジだろう。2列目シート、そして3列目シートがどう動くか、そしてどのように格納するのかは、注目されるポイントだ。

 先代ノア/ヴォクシーでは2列目を前後にスライドさせようとすると、後輪のホイールハウスと2列目シートが干渉するため、一度、2列目シートを横にずらしてから、前後へスライドさせる必要があり、そのスライド操作(横にずらしてから前後に動かす)はシートアレンジに慣れていない方にとっては難しく、使われないことも多かったようだ。また、スライドさせる際にはセンターアームレストを畳む必要があるなど、手間もかかっていた。

 そこで今回は、2列目シートのスライドを、前後方向のみに可動するよう改良している。2列目シートバックの骨格構造で出っ張っていたリクライニング機構の配置を変更し、後輪のホイールハウスとのクリアランスをギリギリまで攻めたことで、「超ロングスライド」が実現。サイドテーブルを展開していても、スライド量745mmのロングスライドができるのは驚かされた。

 自由度をあえて減らして操作を簡単にしたことで、だれでもカンタンに作動できるようになったことは、2列目シートアレンジの一つの革命といってもよいのではないだろうか。

2列目シートバックの骨格を修正し、出っ張っていたリクライニング機構の配置を変更。干渉することなく、スライド量745mmのロングスライドを実現している
2列目シートバックの骨格を修正し、出っ張っていたリクライニング機構の配置を変更。干渉することなく、スライド量745mmのロングスライドを実現している

跳ね上げ格納の最終形態!! 「3列目ワンタッチ跳ね上げシート」

 3列目シートの格納方法にも驚かされた。先代では固定用のフックを止める必要があった3列目シートの格納だが、今回の新型では、ロックを解除すると、軽い力で跳ね上がり、片手で固定までできる。この3列目ワンタッチホールドシートの出来は、跳ね上げタイプの「最終形態」といってよいだろう。

 3列目を床下収納できるタイプ(ホンダステップワゴンは床下収納)も良さはあるのだが、荷室下の広大な収納スペースが残せるので、跳ね上げ式も便利と感じる。また、補器バッテリーをエンジンルーム内に移動したことで、ハイブリッド車でも収納スペースが丸空きのまま、というのは非常に嬉しいところだ。

ロックを解除すると、軽い力で跳ね上がり、固定までできる。先代では固定用のフックを止める必要があった
ロックを解除すると、軽い力で跳ね上がり、固定までできる。先代では固定用のフックを止める必要があった

長年製造を担当してきたことで、アイディアの蓄えがあった

 エクステリアデザインに注目が集まる新型ノア/ヴォクシーだが、今回ご紹介したように、細かな改良が多く施されている。しかも、どれも「廉価」で実現してみせているという、ユーザー視点に立ったアイテムばかりだ。どうしてこれほどのアイディアを実現できたのか、その秘訣について、歴代ノア/ヴォクシーの開発を担当してきたチーフエンジニアであるトヨタ車体開発本部長の水澗英紀氏に訊ねた。

 「新型ノア/ヴォクシーに新規搭載されるさまざまな技術を、比較的廉価に実現することができたのは、開発プロジェクト全体を(この新型以降)トヨタ本体からトヨタ車体へと移管されたことが大きいと考えています。(トヨタの基幹車種といえる量販車種のチーフエンジニアがトヨタ車体所属であることも、開発プロジェクト全体がトヨタ車体であることも極めて異例)

 「これは失敗は出来ない」という、いい緊張感が開発チーム全員に漂っていた気がするのと、長年バンやワゴン、1BOX車を製造してきた経験が生きたなと。トヨタ車体が蓄えていた技術やアイディアを投入できる絶好の機会が訪れた、ということがあったのだと思います。」とのことだった。

 現場で実物と向き合ってきたエンジニアたちの知見が、存分に織り込まれた新型ノア・ヴォクシー。こうした中身の進化は、手に取ったお客様に長きにわたって満足感を与え、それはトヨタへの信頼感へと繋がっていく。やはり、トヨタはすごい。

【画像ギャラリー】新型ノア/ヴォクは中身にこそ真価がある!!! 新型ノア/ヴォクシーに織り込まれた新アイテム(27枚)画像ギャラリー

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