コロナ禍でも販売台数は急回復!! サポカー補助金がもたらした効果

■定期点検で訪れたユーザーがその場で新車を契約することも!

サポカー補助金だけではなく、エコカー補助金の際にも新車売り上げは伸びた。『補助金』には人心を動かず大きな力があるようだ(chartphoto@AdobeStock)
サポカー補助金だけではなく、エコカー補助金の際にも新車売り上げは伸びた。『補助金』には人心を動かず大きな力があるようだ(chartphoto@AdobeStock)

 事実、筆者の70歳台の知り合いも定期点検でディーラーを訪れた際にセールスマンから新車の某軽自動車への乗り換えを勧められたのだが、まず値引きが破格なこと、そしてカーナビ無料装着、下取り査定が好条件など魅力的な支払い額になった。

 そのあとで、サポカー補助金も交付されると聞いて、それまで新車に乗り換える気がなかったのにその場で契約してしまったと聞いたことがある。

 サポカー補助金に限らず、補助金の類は新車購入に関心がなかった人も引き込む“効果”は抜群である。

 日本では、かつてエコカー補助金(環境対応車普及促進事業補助金)というものが、2009年4月10日以降の新規登録車を対象に交付されていた。

 これは初度登録から13年以上経過した自動車を永久抹消(つまり解体処理すること)し、新車へ乗り換えることで登録車の新車への乗り換えで25万円、軽自動車の新車への乗り換えで12万5000円の助成が受けられるというものであった。

 当初は2010年3月31日に、もしくは予算消化時点で終了の予定だったが補助金の増額もあり、2010年9月8日に終了している。

 その名前の通り、よりクリーンな排気ガスを排出する新車への乗り換えを促進させる、“環境対策”が大義名分ではあったものの、“リーマンショック”直後にスタートしているので、単純な景気対策ともいえるものであった。

 当時あるセールスマンに聞くと、

 「ある永久抹消対象車が、確かに初度登録から13年超なのですが走行距離が2万km程度で内外装も新車みたいに良好で内装の一部には工場出荷時に貼られたビニールが残っていました。それを解体業者のところへ持ちこむ時には、どこか罪深いものを感じました」という話を聞いたのを覚えている。

 それだけ、“根こそぎ”ではないが、低年式車の多くを永久抹消するほど補助金効果で新車が売れたのである。

■補助金で市場が活性化するのは日本だけではない

日本のエコカー補助金に似た制度が設けられていたアメリカでは、ディーラーが明け方まで店を開けて新車を売り続けるほどの売れ行きだったという(Hirotada@AdobeStock)
日本のエコカー補助金に似た制度が設けられていたアメリカでは、ディーラーが明け方まで店を開けて新車を売り続けるほどの売れ行きだったという(Hirotada@AdobeStock)

 当時はこのような補助金制度を世界各国でも行っていた。新車販売では世界第二位のアメリカでも“CARS”という制度が設けられ、こちらは台当たり4500ドル(約54万円)という、日本よりもさらに補助金額が充実していた。

 南カリフォルニアに住んでいる知人に当時聞いたところでは、「予算が底をつく直前には、あるオートモール(ディーラーが集まっている場所)では、どのディーラーも深夜というか、明け方まで店を開けて新車を売り続けていたそうです。

 それでも順番を待つお客さんが絶えず、ピザなどの出前をとったりして待ってもらっていたようですよ」とのことであった。

 この知人によると、「この補助金のおかげで、大排気量で生ガスを吐きまくる旧世代のクルマはほぼ一掃された」と喜んでいたのを覚えている。

 補助金の額もあるのだが、その大小はそれほど関係なく、「いまなら補助金制度ありますよ」というのは、消費者の購買意欲を刺激するだけでなく、購入を決断させる最後の“背中を押す”効果は絶大なようである。

 筆者はBEV(バッテリー電気自動車)などの、クリーンエネルギー車を絶対的に否定することはないのだが、ヨーロッパあたりでは低年式のクリーンとは呼べないディーゼル車が数多く走っている。

 ドイツでは日本国内で1999年から2005年まで販売されていた“トヨタファンカーゴ(欧州名ヤリスヴァーソ)”や、初代日産マーチなどを、日本より高い確率で街なかで見かけることができる。それだけ長く乗り続ける傾向が目立つ。

日本国内で2005年まで販売されていたトヨタ ファンカーゴ(欧州名ヤリスヴァーソ)。ドイツの街角ではいまだに見かけることがある
日本国内で2005年まで販売されていたトヨタ ファンカーゴ(欧州名ヤリスヴァーソ)。ドイツの街角ではいまだに見かけることがある

 それならば、日本でもかつて導入していたエコカー補助金(環境対応車普及促進事業補助金)のような制度を導入し、最新のクリーンディーゼル車やガソリン車への乗り換えを促進するだけでも、気候変動対策への効果はクルマだけを見れば十分のようにも見える。

 しかし、新型コロナワクチン接種義務化へ反対姿勢を示すデモが欧州で多発している様子を見ると、「乗っている愛車をスクラップにして、新車へ乗り換えろ」となれば、反対運動が起きそうにも見える。そこはスルーし、電動車が大注目されている現状をみると、“ゲームチェンジャー”の存在感というものも強く感じてしまう。

次ページは : ■買い得時期は補助金給付期間以外にも

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