■買い得時期は補助金給付期間以外にも
補助金とはまったく異なるのだが、新車販売業界では事業年度末決算セールなど、“増販期”と呼ばれる、いつにも増して気合いを入れて新車を売らなければならない時期になると、“下取り査定額の底上げ”というものがよく行われる。
これは年式に関係なく、どんな下取り予定車であっても一律に5万円や10万円を下取り査定額に上乗せするというもの。
下取り査定額は、当該車種の走行距離、エンジンコンディション、内外装の状態などをチェックし、当該車種の現状価値を算定するもの。しかし、最近では購入予定客の新車購入予算に合わせるための“値引き額の調整弁”として、下取り査定額に値引き不足分を上積みするのは半ば当たり前のように行われている。
だが、いつもより多少は押さえた上積み額になるものの、その上積みされた査定額にさらに、一律5万円や10万円が上乗せされるようなので、購入希望客の満足感も高く、スピーディに受注に持ち込むことができるのである。
「下取り査定額の一律上乗せがあるとないのとでは、売りやすさが断然違う」とは現場のセールスマン。
この下取り増額キャンペーンを公に告知するケースもあるが、公にされることなく実行されることのほうが多いので、セールスマンの値引きへの裁量範囲が広まることになり、前出のように「売りやすい」ということにつながっているようである。
この下取り査定額の一律上乗せも拡大解釈すれば、購入補助金に近いものを感じる。
過去に世界的に展開された、エコカー補助金は別として、10万円程度までの補助金があるだけで、新車販売を盛り上げる効果があるのは、コロナ禍でも新車販売が目立って落ち込むどころか、好調に推移したことを見れば明らか(サポカー補助金は最終的には2021年11月30日まで延長となっている)。
筆者としては、これから日本は本格的な経済活動の再開を進めるのだが、その矢先に世界的なサプライチェーンの混乱の影響で新車の生産遅延が続いており、購買意欲が減退してしまうなか、国内旅行だけでなく海外旅行まで本格再開されれば消費支出はそれらに積極的に向かってしまうだろうと考えている。
しかし、2050年カーボンニュートラルの方針を政府は表明しているなかでは、自動車購入への補助金は今後、電動車(HEVやPHEVも含んでほしい)以外は期待できないだろう。
そのなかで、サポカー補助金が終了してしまったことに、新車販売の行く末に関して一抹の不安を覚えてしまうが、それでも新車販売が好調を維持し、「それは考えすぎだった」ということになることを願うばかりである。
【画像ギャラリー】サポカー補助金で新車を購入した高齢者たちがコロナ禍に苦しむ日本経済をサポート!?(7枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方