GR86 インテグラタイプR…死ぬ前に乗ってきたい「最後の純ガソリン車+MT」

■ホンダ N-ONEは普段づかいの新車として世界屈指

ホンダ シビックの1.5L直噴VTECターボエンジンはCVTとのマッチングが好評だが、筆者的には「新型シビックに乗るなら6MTに限る!」と考える
ホンダ シビックの1.5L直噴VTECターボエンジンはCVTとのマッチングが好評だが、筆者的には「新型シビックに乗るなら6MTに限る!」と考える

 ホンダは、今現在「シビック」と「N-ONE」に純ガソリンエンジン+MTのモデルをラインナップしている。

 シビックに関しては、「1.5L直噴VTECターボエンジンはCVTとのマッチングがなかなかよろしい」と評価するジャーナリストも多いようだ。

 筆者もその意見に対して特に否定はしない。だが「新型シビックに乗るなら6MTに限る!」とは思っている。

 全体的に素晴らしい出来映えの新型シビックではあるのだが、1.5L直噴VTECターボエンジン単体はさほど気持ちの良いものでもパワフルなものでもない(と筆者は感じている)。

 それゆえ、CVTだと「まぁ悪くないクルマですね……」といったニュアンスの印象になりがちなのだが、6MTを選べば、車全体の印象が3割増し、いや5割増し以上になる。

 新型シビックを「便利なファミリーカー」としてのみとらえている人はCVTでもいいのだろう。だがこの時代にわざわざ300万円以上出してシビックを選ぶ人が、まさか「便利ならばそれでいい」とは考えていまい。

 必ずや「便利な5ドアハッチバックであると同時に、運転が楽しめる車でもあってほしい」と考えているはず。であるならば、選ぶべきは間違いなく6MTだ。

 もうひとつの純ガソリンMT車であるN-ONE RSの6MTについては「最高!」とだけ申し上げておこう。

 いわゆるホットハッチが好きだった人が今、近所までの普段づかいのために買う新車としては世界屈指の一台だと言える。

ホンダからもう一台。純ガソリンエンジン+MTの「N-ONE RS」
ホンダからもう一台。純ガソリンエンジン+MTの「N-ONE RS」

 とはいえ……ここまでに挙げた現行世代の純ガソリンエンジン+MT車は、むちゃくちゃ正直なところを言えば「ATやCVTであってもそれなり以上に満足できてしまうクルマ」だ。

 その理由は、昔のそれと違ってATやCVTのダイレクト感も大幅に向上しており、それと同時にエンジンの尖り具合も昔のクルマほどではないため(良くも悪くも“丸くなった”といえる)、「MTじゃなくちゃ楽しめない!」ということもなくなっているからだ。

■中古車で純ガソリン車+MT車を選ぶとどうなる?

純ガソリンエンジン+MTの魅力を真に味わうためには、現行新車ではなく「旧世代の中古車」を選ぶのが正解である可能性は高い。まず最初に上げたいのはDC2/DB8こと初代ホンダインテグラタイプRだ
純ガソリンエンジン+MTの魅力を真に味わうためには、現行新車ではなく「旧世代の中古車」を選ぶのが正解である可能性は高い。まず最初に上げたいのはDC2/DB8こと初代ホンダインテグラタイプRだ

 ……となれば、純ガソリンエンジン+MTの魅力を真に味わうためには、現行新車ではなく「旧世代の中古車」を選ぶのが正解である可能性は高い。

 そしてその際にぜひ選びたいのが……これまたたくさんあって迷ってしまうのだが、まず筆頭に挙げたいのはDC2/DB8こと初代ホンダインテグラタイプRだろうか。

 B18C型をベースにチューンされた1.8L直4純ガソリンエンジン「B18C Spec-R」は、最高出力200psを8000rpmで発生する超高回転型。

 それをクロスレシオの5MTでダイレクトに操る快感は、2022年に発売されているどんな新世代高性能電動AT車よりも素晴らしい――と言い切っても決して間違いではない。ガソリンエンジンだからこその魅力、MT車だからこその面白さが全身に詰まった一台といえるだろう。

 現在の中古車相場は、最高値圏は600万~900万円まで高騰してしまっているが、車両価格300万円前後でも十分悪くない個体を見つけることが可能。それでも高いは高いわけだが、もしも「人類遺産」として考えるならば、比較的お手頃と見ることもできる。

 また同じホンダでは「S2000」もほとんど人類遺産である。

本田技研工業の創立50周年を記念して1999年に発売されたFRレイアウトの2シーターオープンスポーツ「S2000」
本田技研工業の創立50周年を記念して1999年に発売されたFRレイアウトの2シーターオープンスポーツ「S2000」

 今さら詳しい説明は不要だろうが、S2000は、本田技研工業の創立50周年を記念して1999年に発売されたFRレイアウトの2シーターオープンスポーツ。

 多くの部品が専用パーツとして新たに設計され、縦置きされるエンジンはリッターあたり125psというレーシングエンジン並みの出力をマークする、専用の2L、直4DOHC VTEC「F20C」。

 これは市販量産車用エンジンであるにもかかわらずレブリミットが9000rpmという、鬼のような超高回転型だった。

 そしてそのエンジンを構成する各部品にも、小型軽量化をしながらも強度を保つため、ほとんど「ワンオフ」とも言えるさまざまな新技術が投入されたのだ。

 さらに、当時は希少だった6速MTも、S2000のために自社開発された専用品。……電動パワーユニット+ATのクルマだらけになった今となっては、これぞまさに人類遺産のひとつである。

 そんなS2000の中古車相場は、最高値の後期型は900万円を超えてしまう状況だが、400万円台でもまずまずな個体を見つけることは可能。これまた高いは高いわけだが、もしも「人類遺産」として考えるならば(以下略)。

 とはいえインテグラタイプRもS2000も、公道で全開をカマすにはあまりにハイパワーであり、「本当の意味で全開にできるのは高速道路の料金所ダッシュだけ」という状況もあり得る。

 だが軽最速の純ガソリンエンジン+MT車である「スズキ アルトワークス」であれば、かなり極端な話ではあるものの、いついかなるときも“全開の歓び”を味わうことができる。

 歴代アルトワークスのなかでぜひ選びたいのは――諸説あるとは思うが、やはり3代目(1994~1998年)だろうか。

 この世代は、新開発のオールアルミ製DOHC 12バルブターボを搭載するRS/Z系と、扱いやすいSOHC6バルブターボを搭載したie/s系に大きく分けられるが、当然ながらここで推奨されるのはRS/Z系である。

 その中古車相場は現在30万~80万円といったところ。全体をビシッと整備し直す予算までを勘定に入れたとしても、ある意味激安だと言える。

 ただ、競技用ベース車両である「ワークスR」の中古車は非常に希少で、相場も200万円以上。よほどの思い入れや事情がある人以外は普通のRS/Z系を購入したうえで、ビシッと整備し、人類遺産として大切に扱いながら全開でカッ飛ぶのが正解となるだろう。

【画像ギャラリー】まさに「人類遺産」! 日本生まれのMTスポーツモデルをギャラリーでチェック!(30枚)画像ギャラリー

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