こんな時に迷ったら一発解消! あるある冬のクルマトラブル間違い探し

■Question:メンテナンスフリーバッテリーだから何もしなくていい→Answer:×大間違い

 バッテリーに蓄えられている電気は、消費することなく置いておくだけでも自己放電によって徐々に減少する。このため、クルマの使用状況によっては「補充電」が必要となる。

 また、バッテリーに蓄えられる電力には限りがあるため、走行中は常にエンジンの回転力を利用した発電が行われ、消費した電気の補充が行われている。

 ところが、電気を蓄えられる限界(満充電状態)に達すると、行き場を失った電気がバッテリー液中の「水分」を電気分解してしまう。これによりバッテリー液(電解液)の液量は少しずつ減少してくるため、定期的な「蒸留水の補充」も必要だ。

 このような「補充電」や「蒸留水の補充」といった手間を軽減あるいは不要としたバッテリーが、現在主流となっている「MFバッテリー」と呼ばれるタイプで、最新の「密閉型」はバッテリー液の注入口が塞がれていて液の補充が不要、というかできない(規定量以下まで減少したら寿命で、要交換となる)ため、ほとんど手間がかからない。

 このため、近年の車載バッテリーは「メンテは不要」と思っている人も多い。が、液の減少が押さえられているだけで、脱着可能な注入キャップが上面に6個、設置されているタイプだったら定期的な点検・補充が必須。年数が経過すればターミナル表面に酸化皮膜が付着して電気が流れにくくもなるため、最低限のメンテナンスは必要となる。

最近のバッテリーは高性能化と共にメンテナンス性も向上している。ただ基本的にメンテにかかる手間が減るだけなので、定期的なチェックや蒸留水の補充こまめ行いたい
最近のバッテリーは高性能化と共にメンテナンス性も向上している。ただ基本的にメンテにかかる手間が減るだけなので、定期的なチェックや蒸留水の補充こまめ行いたい

 バッテリーの充・放電作用は「電解液」と「極板」の間に生じる「化学作用」によって行なわれており、外気温が下がるとその「化学作用」が鈍って起電力が低下してくる。

 それゆえ、液の減少やターミナルの酸化、取り付けの緩み(緩んでいるだけでセルが回りにくくなる)といった不具合は寒い冬には致命的! 確実にチェックしておきたい。

■Question:温度変化に応じて空気圧は変わるので寒くなったらチェック→Answer:○冬になったらタイヤの空気圧チェックは忘れずに

 空気は熱で膨張するため、タイヤが冷えた状態と暖まった状態とでは空気圧は異なる数値を示す。そして走行時、路面との摩擦でタイヤ自体の温度は上昇するため、20kPa(0.2kg/cm3)~30kPa(0.3kg/cm3)は高い数値となる。このため、タイヤの空気圧の測定は走行前の冷えたときに行うのが原則だ。

 また、このように温度変化に応じて空気圧は変動するため、外気温が高い季節に調整して以降、手付かずだったら既定値よりも確実に低下。状況によっては危険な領域まで空気圧が低下している可能性がある。空気圧は正常な状態でも自然に低下するため、気温の低下による目減りによるダブルパンチとなり、かなり低下してしまうからだ。

タイヤも走る為のクルマの命。タイヤの溝は目視によるチェック可能だが、空気圧は寒暖の差でも大きく変わる。毎回の走行前のチェックが望ましいが、せめて月イチ位チェックは心がけたい
タイヤも走る為のクルマの命。タイヤの溝は目視によるチェック可能だが、空気圧は寒暖の差でも大きく変わる。毎回の走行前のチェックが望ましいが、せめて月イチ位チェックは心がけたい

 ところが、往々にしてタイヤの空気圧チェックは怠りがち。規定値より低下すると本来の形状を維持できなくなり、タイヤを痛めたり、ハイドロプレーニングも起こりやすくなって危険。さらに、接地面積の増大で異物を咬みやすくもなるため、JAFの冬トラブル2位が「パンク」という結果もなんとなくうなずける。

 いかにメンテナンスフリーが進もうとも「空気圧によって形状を維持する」というタイヤの構造上、空気圧チェックは欠かすことができない重要メンテナンスの1つ。くれぐれも注意したい。

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