■ まったく新しい発想から突然生まれた「天才たまご」~トヨタ 初代エスティマ~
【こんなクルマ】
1990年5月に発売された初代エスティマは、アメリカで急伸していたミニバンマーケットへ投入するために開発されたモデルだ。カリフォルニアにあるデザインスタジオ「CALTY(キャルティ)」が手掛けた未来的なデザインや、フロア中央部下にエンジンを75度倒して搭載したアンダーフロア・ミドシップ・エンジンレイアウトの採用など、すべてにおいて画期的だった。
【ここにインパクトあり!】
多人数が乗れるクルマといえば、商用車ベースのワンボックスが主流だった時代に、外装はもちろん、車内まで乗用車的に作り込まれていた。
「EGG ON A BOX」と銘打った単純明快な卵型のスタイルは、まるで筒型のカプセルのようで、広いガラスエリアも相まってじつに未来的でだった。大胆なフラッシュサーフェス化によって実現した「ワンモーションシェイプ」は、個性を主張するとともに優れた空力特性(Cd値0.35)を達成するなどパフォーマンスの面でも効果をもたらした。
インテリアは「ダイナミックウェーブインパネ」の採用や、乗用車的な姿勢で座れるシートポジション、操作性を重視したステアリングの取り付け角度などにも乗用車的なこだわりが見てとれる。
商用車をベースにしていた他車とは違いベースがなかったことも独創的なデザインの実現できた要因のひとつで、それまでのワンボックスベースのモデルを一気に旧態化させるほどの衝撃を与え、ミニバンというジャンルの確立に大きく貢献した。
■「生活性能」の追求でクルマの楽しみを広げたファミリー・ムーバー~ホンダ 初代ステップワゴン~
【こんなクルマ】
空前のRVブームが巻き起こっていた1990年代初頭、ホンダは生活をより楽しく大きく豊かに広げていけるクルマを目指し、独自の発想で作られたクルマを「クリエイティブ・ムーバー」と称してシリーズ化していた。
その第3弾として1996年5月に登場したのが初代ステップワゴンで、「家族みんなの使い勝手を追求したFF1.5ボックスライトミニバン」と銘打ってファミリー層を中心に絶大な支持を集めた。
【ここにインパクトあり!】
エンジンをボンネット部にコンパクトに収めたFF横置エンジンレイアウトがもたらす居住性と実用性の高さは、デビュー当時大きな衝撃を与えた。
エンジンルーム内の部品配置を効率化したうえに、サスペンションもフロント、リアともに室内に張り出しが少ないようレイアウトすることで、車内は大人が8人乗ってもゆったりと快適に過ごせるスペースを確保。まさに、ホンダならではの「人のスペースを最大限に、メカニズムスペースを最小限に」という発想が存分に生かされていた。
全長4605mm×全幅1695mm×全高1830mmというサイズにも関わらず、低床フラットフロアと背の高いルーフで1335mmの室内高を達成したことで、実用面でも他車を圧倒する優位点を持つ。特に開口高、開口幅ともに広く、ほぼ真四角で大きく開くテールゲートや低くフラットな荷室床面などによるビッグでワイドな設計によって、背の高い荷物がしっかりと積載でき、しかも出し入れもラクラク。
そのほかにも、低床ワンステップフロア、ダブルベッド並のスーパーフルフラット、回転対座シートなどの機能を盛り込むことで「家族のためのすぐれた生活性能」を実現していた。
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