新型ヴォクシーの販売が好調をキープしている。これでもかと大型化されたグリルは「エグい」という印象を受けたものの、売れ行きが伸びている理由は、やはりデザインに人を惹きつけるインパクトがあったからと言えるだろう。
そこで本稿では、過去に登場したミニバンのなかから、特にインパクトの強かったものをピックアップ。どこにインパクトがあったのかを紹介、解説していこうではないか。
文/フォッケウルフ
写真/トヨタ、ホンダ、三菱、日産
■「ハコ」を超えるインパクトを求めて
クルマとは移動の手段であり道具という側面を持つが、同時にそれを手にする人の心になにがしかの期待や感動を与えることが購入の動機になり得る。それはデザインであったり、機能や走行性能といった能力かもしれない。いずれにしても、ほかとは違う何かを持つことは、それを所有する人に満足感を提供することになる。
たとえばデザインでインパクトを与えたクルマの代表格として、2022年2月にフルモデルチェンジしたトヨタ ヴォクシーが挙げられる。発表当初こそ、あえて威圧感を強調したオラオラなスタイルにユーザーは驚きや戸惑いを覚えたものの、時間の経過とともに肯定的な意見が増え、2月末時点での受注台数は7万台(ノア&ヴォクシー合算)を超えたという。
ノア&ヴォクシーをはじめとしたミニバンは、多人数乗車ができて荷物をたくさん積みたいといった機能が重視されるため、デザインは画一的になりやすい。ボディ形状が、いわゆる「ハコ」になるわけだが、それでもほかとの違いを主張せねばならない。
そこでヴォクシーは、フロントまわりをコントラストの強い立体と個性的なグラフィックを用いて、さらに怪しくシャープに光るフロント&リヤランプで昼でも夜でも存在感を放つ、先鋭かつ独創的なスタイルを実現した。これまでの概念をぶち壊したとてつもなく大きなグリルや、S-Z系グレードに標準装備される薄暮灯などは、機能との関わりが極めて少ないものといえるが、見る者に十分なインパクトを与え、そこに心を惹かれた人が多かったということだろう。
インパクトがいかに重要であるかの例として、新型ヴォクシーのデザイン的な部分をクローズアップしたが、過去をひも解けば”ただならぬハコ”としてユーザーに強烈なインパクトを与えたミニバンは数多く存在した。そこで新型ヴォクシーですら霞んでしまいそうな、インパクトを持ったミニバンをクローズアップしてみよう。
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