レクサスのBEVスポーツセダン さらに新型SUV 次期LFAの真相が見えてきた

■「LFAの秘伝のタレ」を継承する次世代BEVスポーツカー

 レクサスUSAによるエレクトリファイドセダンのツイートの前後には、エレクトリファイドSUVに加え、エレクトリファイドスポーツコンセプトの1分弱の動画がお披露目された。

 サーキットでLFAをエレクトリファイドスポーツコンセプトが追い越し、行動に出て森の中を海岸線に向かい、レクサスのBEVファミリーとともに駐車する、というアニメーションだ(日本のレクサスのElectrifiedページでも見られる)。

 エレクトリファイドスポーツコンセプトは、バッテリーEV戦略説明会で豊田章男社長が「いわばレクサス『秘伝のタレ』であるLFAの乗り味を継承する次世代BEVスポーツカー」と紹介していた特別なクルマだ。

前面投影面積が少なくエアロダイナミクスに相当力を注いでいることが容易に想像できるスーパーカーを名乗るにふさわしいサイドビュー
前面投影面積が少なくエアロダイナミクスに相当力を注いでいることが容易に想像できるスーパーカーを名乗るにふさわしいサイドビュー

「『秘伝のタレ』っていうニュアンス、外国人にも伝わるのかな」と筆者はやや疑問に思っていたが、レクサスUSAのツイッターにはなんと「An EV supercar with the ‘secret sauce’ from the LFA」、まさに「LFAから引き継ぐシークレットなソースで味付けされたEVスーパーカー」と書かれていたのが非常に興味深かった。

 その性能とデザインの美しさは「スーパーカー」の名に恥じないもの。0→100km/h加速性能は2秒台前半、航続距離も700kmを超えるとされ、全固体電池の搭載も視野に入れている。エレクトリファイドセダンとも共通項のあるサイドビュー、超ロングノーズの大胆かつ流麗なデザインなどディテールにも見どころが多い。

フロントフードにはレーシングカーのようなボンネットピンと大きな開口部が目立つ
フロントフードにはレーシングカーのようなボンネットピンと大きな開口部が目立つ

 またベストカーでは以前からトヨタとマツダの協業について報じてきているが、エレクトリファイドスポーツコンセプトのディメンションを見ると、マツダRX-9との類似性の高さにも気付かされる。

 ドア後ろ、レースカーの給油口にあたる位置にあるのは充電リッドだろうか。期待は高まるが、ドアハンドルがないように見えることから、まだ実際に姿を表すには時間がかかるだろう。

 余談になるが、豊田章男社長は「秘伝のタレ」の他にも、「BEVで4輪駆動のプラットフォームを作れば、制御によってFRやFFはすぐ作れるが、(クルマの素性を磨かずに)ただ制御だけして味付けしたところで、伸びたうどんに天ぷら入れるようなものだ」と説明会で発言していて、食べ物での喩えがお好きなようだ。食いしん坊の筆者は親近感を覚えてしまった。

■エレクトリファイドSUVは4月に発表予定のRZと何が違う?

 2021年12月に発表されたエレクトリファイドSUVと、日本では2022年4月に発表予定のレクサス初のBEV専用プラットフォームを用いた新型RZの2つの画像を並べて見てみよう。一見極めてよく似ているが、実は多くのところで違いがある。

 エレクトリファイドSUVはノーズは高く、ホイールアーチも厚みがあってボクシーで、ランドクルーザーやLX600を思い起こさせる。スピンドルも幅があり、フロントノーズ側面は後方に傾くのではなく、より垂直に近い形状となり、前から見た時の押し出し感が強い。

 このエレクトリファイドSUVは、フラッグシップのBEV・SUVとして、世界のライバル車に対してどれだけ強力なパワートレインを搭載するのかが気になるところ。

 LEDライトはカスケード型でより彫りが深く立体的に見える。ルーフ部分はボディ同色ではなくブラックアウトされており、ソーラーパネルが装着されるのかもしれない。またサイドミラーではなくカメラを採用、ドアハンドルも格納型だ。

RZよりもホイールベースが長く見える。RZよりもさらに上のクラス、ラージSUVのBEVとなる
RZよりもホイールベースが長く見える。RZよりもさらに上のクラス、ラージSUVのBEVとなる

 こちらが2022年4月に発表され、年末以降の発売予定とされているRZは、北米ではRZ450eという名前でデビュー予定。最初にRがつくことから、2022年初夏に発表され、今秋に発売予定とされるRXのBEVバージョンという捉え方でいいはずだ。

見た目は現行RXにより近いがグリルがなくすっきりとしたフロントビューで見間違えることはないだろう
見た目は現行RXにより近いがグリルがなくすっきりとしたフロントビューで見間違えることはないだろう

 実は、RXというのは、レクサスのなかでは非常に特別なクルマ。2021年、レクサス最大の市場であるアメリカで販売された11車種、30.4万台のうち、デビューから6年以上経つRX1車種だけで全体のほぼ4割、11.5万台が売れた。その化け物級の大ベストセラーのBEV進化版後継車なので、力が入っているのは間違いないが、デザインなどで大きな冒険ができないのも事実。

現行RXはフルモデルチェンジから6年以上経つがそのデザインからは古臭さは感じられない
現行RXはフルモデルチェンジから6年以上経つがそのデザインからは古臭さは感じられない

 ドアミラーと通常型のドアハンドル、ホイールアーチ部分など曲線が多くマッチョすぎないエクステリアなど、エレクトリファイドSUVよりも現行RXにより似ている。

 ルーフ部分はボディ同色のように見えるが、ソーラーパネル装着車も用意されるかもしれない。BEVとなったのでグリルはなくなったが、特徴的なスピンドル形状は踏襲している。

アメリカではRZ450eという名前で販売されるが、ハイブリッド車である現行RX450hの後継であることが強く連想される 
アメリカではRZ450eという名前で販売されるが、ハイブリッド車である現行RX450hの後継であることが強く連想される 

 エレクトリファイドSUVとRZの違いは、リアビューを見るとより際立つ。どちらも新世代のLEXUSのロゴが入るが、前者はかなりシャープでボクシー、未来的。後者は複雑な形状で高級感を出しているが、マッチョ度合いは比較的低い。現行RXと比べるとテールランプ幅が薄く、リア全体に回り込むなどよりすっきりとした形状となった。

エレクトリファイドSUVのテール周りのデザインの処理は水平方向を強く意識させ非常にすっきりした機能的なものに見える
エレクトリファイドSUVのテール周りのデザインの処理は水平方向を強く意識させ非常にすっきりした機能的なものに見える

 RZはトヨタブランドのbZ4Xと同様に、スバルと共同開発したBEV専用のプラットフォームe-TNGAを使用するとみられる。スバルの持つAWD技術「X-MODE」とトヨタの電動化技術も組み合わされる。

 前述した通り、最新の情報では新型RXの発表は2022年初夏、発売は今秋に予定されており、RZはその前の4月に発表、発売は年末以降になる予定。

 通常レクサスの新車種は、発売開始の1カ月半から2カ月前、つまり今秋発売であれば7月ごろから先行予約を取り始めるので、興味がある人は早めにディーラーに連絡したほうがいい。

欧州トヨタのHPでbZ4Xの動画、画像が公開されたが日本での発売は現時点で年央とされている
欧州トヨタのHPでbZ4Xの動画、画像が公開されたが日本での発売は現時点で年央とされている

 仮にRZがbZ4X同様のモーター・電費性能だとすると、最大システム出力はAWDで前後80kWずつの計160kW、電池容量は71.4kWh、航続距離は460km程度となる。

 bZ4Xのホイールベースは、ランドクルーザーやLX600同様の2850mmとなることから、RZのホイールベースも現行RXの2790mmより長くなり、居住性と走行安定性が高まるものと見られる。

bZ4XのインテリアはBEVだからといってゴリゴリの先進感をあえて演出せず比較的シンプル
bZ4XのインテリアはBEVだからといってゴリゴリの先進感をあえて演出せず比較的シンプル

次ページは : ■レクサスがBEV化を急ぐ背景とブランド戦略

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