■レクサスがBEV化を急ぐ背景とブランド戦略
2021年12月のトヨタバッテリーEV戦略説明会以降、レクサスのBEVに関する情報量が急増してきているが、その背景には何があるのだろうか。
クルマの電動化技術の進化に伴い、これまでとは次元の違う先進的な移動体験が可能となりつつある。
それに伴い、少々高い値段を払ってでもバッテリーのもたらす高級な乗り心地やこれまでにないクルマの進化を体験したい、と思う層がいわゆるアーリーアダプターだけでなくやや保守的だった富裕層にまで広がってきており、彼らからのBEVへの期待値が急速に高まってきている、というのがトヨタ・レクサス経営陣の現状認識だ。
アーリーアダプター層はテスラが主導権を握り、やや保守的な富裕層をめぐっては競合しているメルセデス・ベンツがすでに高級フラッグシップBEVのEQSを北米市場に投入しているなかで、急速に変化しつつあるニーズに応えるべく、レクサスは「2030年までに北米、欧州、中国での新車販売におけるBEV比率100%、BEV全世界販売台数100万台達成」「2035年までには全世界新車販売を完全BEV化」の目標を掲げ、「クルマ屋だからこそできる性能の作り込み、人の感性に響くモノ作りに磨きをかける」ことで、自らを差別化していこうとしている。
アメリカのバイデン政権の看板法案、「ビルド・バック・ベター」は現在上院民主党内からの反対もあり宙に浮いてしまっているが、もしなんらかの形で可決されれば、BEV購入に対して今より5000ドルも多い最大1万2500ドル、およそ150万円弱の税額控除、つまり政府による実質的な値引きが受けられるようになる。
そうなれば欧州だけでなくアメリカでも急速にクルマのゼロエミッション化や充電インフラの整備が進むこととなり、北米を最大の市場とするレクサスとしてはここで出遅れるわけには絶対行かない状況だ。直近のレクサスのBEVに関する情報量の急増は、現在シカゴオートショーが行われているからというだけではなく、このような背景がある。
エレクトリファイドコンセプトシリーズではセダン、SUV、スポーツの3種類が披露されたが、今後は2017年にフルモデルチェンジされたLSの後継となるBEVラグジュアリーセダンに期待がかかる。
レクサスの原点となるLS400が発売された1989年同様、レクサスが改めてBEVで世界の高級車の定義を塗り替える時が来るのを、日本人として大いに期待している。
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