■甲高い金属音を発して疾走する未来のレージングカー
さて、固定式のシートに潜り込みドライブペダルを慎重に踏み込むと、甲高い金属音とともに未来のレーシングカーはスタートした。
重量が嵩む電池は、床下ではなくミドシップレーシングカーであればエンジンが搭載されている場所にあるため、レーシーなハンドリング性能に大いに貢献している。
ただしステアリングのミリ単位の動きでノーズが反応するので、ドライブペダルも電気モーターの特性を考え、細心の注意を払いながら操作することが必要だ。特にこのエクスペリエンス・センターのハンドリングコースはわずか2kmで狭く、ワンオフの高価なプロトタイプを振り回すには慎重にならざるを得ない。
しかし、試乗に際して技術プロジェクト担当のミヒャエル・ベア氏が説明したようにフィージビリティ(実現性)に重点を置いた開発の結果、ミッションRはワンオフモデルとは思えないほど確かなドライバビリティを見せてくれた。
バイワイヤで操作されるブレーキも踏力は要求されるが、確かでコントローラブルな制動力で安心してコーナーに飛び込むことができる。
残念ながら今回のテスト条件では存分に試すことはできなかったが、ポテンシャルとしては現行のGT3カップカーに充分対抗できるほどの実力を垣間見ることができた。
ミッションRは現状ではまだコンセプトで、噂されるようにこのまま将来718シリーズへ移行する可能性はない。
だが、将来的にはこの開発で試みられた技術要素が、量産車に反映されるはずだと前出のベア氏は語った。
【画像ギャラリー】その性能は911 GT3クラス!!? EVの可能性を示す『ミッションR』をギャラリーでチェック!(8枚)画像ギャラリー
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